中日岩瀬仁紀投手(42)がカットボールに改良を加え、進退を懸ける来季に臨む。ナゴヤ球場に隣接する室内ブルペンで23日、捕手役の荒木に17年型カットボールを試投。2000安打まであと39本に迫る好打者から“打ちづらい”と太鼓判を押されるなど、新球への手応えは上々だ。

 冷え込んだナゴヤ球場の室内練習場に、活気あるキャッチボールの音が響いた。チーム最年長の42歳岩瀬が野手最年長の39歳荒木と意見交換しながら投球練習。試投していたのは、17年型カットボールだ。「今、投げられても意味がない。来年、うまくいけば。その準備をしている」。来季に進退を懸ける左腕は、武器のカットボールに改良を加えていることを明かした。

 これまでの岩瀬は、大きく変化するスライダーのイメージが強かった。だが来季は小さな変化で打者を嫌がらせる。捕手役を務めた荒木は「イメージが変わった。軌道が変わった。打者の手元に来るまで曲がるかどうか分からない。入ってくる感じ」とうなった。真っすぐの軌道で来て、手元でキュッと曲がる。従来のカットボールを微修正したものだが、芯さえ外せば投手の勝ち。2000安打まで39本に迫る好打者荒木も、打者目線で打ちづらいボールとうなる必殺球だ。

 新たな武器をブラッシュアップしていく。岩瀬は「今は遊びでやっている感じ。実際、(マウンドで)力入れてみてどうなるか。(荒木ら野手から)打者が嫌がるのは聞いています」と手応えを口にした。だが開幕までの時間でさらに改良を加える。仲間の意見も積極的に聞きながら、打者が嫌がる球を完成させる。

 通算402セーブを誇るが、ここ2年間セーブがない。11月下旬の契約更改では「本来なら身を引かないといけない成績」と口にした。結果を残さない限り、現役の道は続かない。改良カットボールで勝負をかける。【宮崎えり子】