鬼の鉄砲肩でレギュラーも射貫く! 阪神の新人合同自主トレが8日、始まり、ドラフト1位の大山悠輔内野手(22=白鴎大)がいきなり「強肩を発動」した。雨に見舞われた合同トレ初日。金本監督ら首脳陣の視線を浴びつつ、キャッチボールで力強い球を連発した。すっぽ抜けた1球が室内の天井に届く一幕も。大学日本代表の4番を務めた期待の大砲は、守備力という武器も備えていた。

 底冷えのする室内に、乾いたミット音が響いた。大山が投げるボールは明らかに他の新人選手と質が違った。約50メートル先のドラフト5位糸原とのキャッチボール。ほとんどが、勢いを保ったまま胸元にあるミットに吸い込まれた。参考にはならないが、1球だけすっぽ抜けた球はなんと室内の天井に届いた。新人トレではあまり見ることのない風景だった。

 「まだです。あれがMAXだとダメ。まだ6割くらいです」

 大学NO・1スラッガーの触れ込みだが、豪快な打撃と同じくらい守備力にも自信を持つ。特に肩は遠投110メートル。つくば秀英時代は投手を務めて最速143キロを計測した。地肩の強さに加えて「リリースの時だけ力を入れる」という「脱力スロー」を心掛け、伸びのある送球が身についている。日頃から打撃だけではなくプロの守備を動画サイトでチェック。スローイングについても「いかに受け手が取りやすいか」と研究を重ねている。

 アピールポイントは多いに越したことはない。2月のキャンプは1軍の沖縄・宜野座スタートが内定している。金本監督は新外国人キャンベルの4番サード起用を頭に描いており、ポジションがかぶる大山は追いかける立場。だが、キャンベルと同じグラウンドで打って、守れてとアピールすれば、首脳陣の目を引くことが出来る。

 視察した金本監督からは「ほどよく遊べ!」とプロの心得を伝授された。ガチガチだった表情も、この指揮官の「初訓示」でほぐれた。

 「野球もプライベートも充実した日を送りたい。先のことというよりも明日のこと。1日1日を大事にやっていきたい」

 合同トレ初日は雨天のため、屋外の打撃練習は出来なかった。それでも強烈な肩でインパクトを残すあたりは、金本監督がほれ込んだ逸材。強肩のルーキー三塁手が春の甲子園を駆け回る可能性を感じさせた。【桝井聡】

<近年の阪神ドラフト最上位選手の新人合同自主トレ初日>

 ◆16年 高山は前年秋に右手有鉤(ゆうこう)骨骨折で手術したが、順調に回復。屋外でのトス打撃143スイングなど、視察した金本監督に元気なところを見せた。

 ◆15年 前年11月の21Uワールド杯に出場した横山は、疲労などを考慮され、1人だけダッシュなどの別メニューに黙々と取り組んだ。

 ◆14年 右翼近辺で始動した岩貞は、左翼付近でトレーニングする前年10勝の2年目藤浪に敬意を払いながら、自身は丁寧なキャッチボールなどで存在感をアピール。

 ◆13年 藤浪はいきなりブルペン入りし、捕手を立たせたまま7分間で30球を投げた。新人としては極めて異例の行動も、事前に担当スカウトを通じて首脳陣に希望を伝え、承諾を得ていた。

<阪神新人合同自主トレ、8日の練習メニュー>

 ◆午前10時 雨天のため鳴尾浜球場から甲子園球場室内に移動

 ◆10時15分 アップ開始

 ◆10時30分 キャッチボール

 ◆10時45分 金本監督訓示

 ◆10時55分 ペッパー打撃

 ◆11時10分 トス打撃

 ◆11時40分 30メートルダッシュ

 ◆正午 終了。鳴尾浜の2軍施設に移動してウエートトレーニング