阪神スカウト陣が今秋ドラフトの上位候補を追って、春季キャンプ中に異例のアクションを起こしていたことが分かった。最速152キロの本格派左腕、JR東日本・田嶋大樹投手(20=佐野日大)をリストアップしていることが判明。将来の左腕王国を築く上でも理想的な逸材とし、スカウト陣が2月上旬、JR東日本の宮古島キャンプを視察して現状を把握した。

 阪神はこれまで、早実・清宮と履正社・安田の超高校生級スラッガーを1位候補の軸に位置づけ、密着マークしてきたが、新たにサウスポーの田嶋も上位候補に浮上した。球団関係者は「佐野日大の頃から柔らかい投球を見せたし、実績もある」と評価した。何よりの武器は真っすぐの強さだ。佐野日大時代はセンバツ4強に押し上げてドラフト1位候補と騒がれながら、社会人入り。球速が7キロアップした。15年9月には侍ジャパン社会人代表に選ばれ、BFAアジア選手権に出場。国際舞台を経験したのも強みだ。

 チーム内では昨季、25歳の岩貞が先発で10勝を挙げたほか、14年ドラフト1位の横山や岩崎ら前途有望なサウスポーがそろう。その一方で、主力の能見が37歳で岩田も33歳になり、高齢化も進む。左腕投手陣の若返りを図るためにも、田嶋の力量も注視していく。

 15年にはDeNA2軍とのプロアマ交流戦にも登板し、2回5三振の無失点投球を見せた。スリークオーター気味の腕の振りで、速球でグイグイと押せる姿は、プロ向きといえる。スライダーの切れ味も定評がある。楽天、ソフトバンクなども注目する実力派をトラも追いかける。