下克上弾で開幕1軍決定だ! DeNAのドラフト9位佐野恵太内野手(22=明大)が、西武とのオープン戦最終戦で、3番一塁で先発し、右翼越え本塁打を放った。6回の第3打席で読み通りの直球をスタンドへ運んだ。試合後にラミレス監督が開幕1軍を明言。最下位指名から結果を残し続けた下克上ルーキーが、大暴れの予感を漂わせながらシーズンに挑む。

 祝砲でもあり、号砲でもある打球が、右翼スタンドへ吸い込まれた。佐野が待っていたのは直球。「投手の配球を読んで、直球がくると思っていた」。迷いなく振り抜いたバットの勢いが、そのままソロアーチとなった。

 3日前にラミレス監督から開幕1軍を告げられた。「プレッシャーがある中で戦ってきて(開幕1軍が決まって)気持ちが楽になったけど、まだまだアピールをしていかないといけない」。気を緩めるどころか気合の1発だった。

 積み重ねた「練習」と、余念がない「準備」が、結果として報われた。スイングの強さは入団時から持っていた。その強さを生かすために、坪井打撃コーチから教わったのはティー打撃。特に横からのトスに合わせることで、体が前に突っ込まずに回転で打つ感覚を染み込ませた。「それが大きかった」と宜野湾キャンプから振り続けた。

 WBCで不在の筒香、腰痛で一時離脱した梶谷に代わって先発機会が増えると、準備に集中した。ベンチに座っているときから、投手を見ながら「テークバックと初動のタイミングに合わせる。全球にタイミングを合わせている」と徹底。打席に入るとルーキーの背中を押したのはラミレス監督の言葉だった。

 「ホームランボールを、ホームランスイングしろ」

 オープン戦を完走し、打率は3割1分9厘、2本塁打で打点は11となった。ルーキーでの2桁打点は、球団では44年ぶりの快挙だった。22日楽天戦での10打点目は「反省しかない」という一ゴロの走塁間での打点だったが、文句なしの1発で締めくくった。

 昨秋ドラフト指名選手87人中84番目、セ・リーグでは最下位指名からの下克上。「キャンプから開幕1軍を1つの目標として取り組んできた。でも、開幕してからが一番大事」。その気持ちが、さらなる下克上を巻き起こす。【栗田成芳】

<佐野恵太(さの・けいた)アラカルト>

 ◆生まれ 1994年11月28日、岡山出身

 ◆サイズ 178センチ、84キロ、右投げ左打ち

 ◆経歴 広陵-明大-16年ドラフト9位

 ◆契約金・年俸 2500万円・670万円(推定)

 ◆血液型 A型

 ◆寸評 伯父は現役時代に首位打者を獲得したソフトバンク3軍監督の佐々木誠氏。走攻守3拍子そろった打者の遺伝子を受け継ぐ。ポジションにこだわらず、内野は一塁以外を経験。外野の練習もして幅を広げて入団。打撃センスは高い。少ないチャンスから結果を残していきたい。