首位攻防戦もフル稼働だ。広島薮田和樹投手(24)は、チーム最多11試合に登板するなど首位の広島を支える。開幕直後のロングリリーフ要員から、今では勝利の方程式の一角。点差や状況など登板場面を問わず、複数イニングもこなす。亜大4年間で公式戦2試合登板右腕の急成長の裏に何が-。薮田本人、畝投手コーチ、スコアラーによる証言から見えてきたものとは。

 薮田の直球にはもともと定評があった。そして今季は常時150キロ超を計測するなど、威力が増した。畝投手コーチは「あの重い、ズドンとくるボールはいい」と太鼓判を押す。今季から中継ぎ専念となり、1球にすべての力を注げることも大きい。だが、それだけではない。快速右腕の急成長には、確かな理由がある。

 <進化1>開き直り 本人の口から出てきたのは意外な言葉だった。「開き直りですね」。春季キャンプ中はボール先行の投球が目立った。だが「もうこれ以上(球が)荒れたところは見せられない。ストライクゾーンで勝負する。歩かせるのではなく、ゾーンに投げれば打ち損じもある。開き直れた」。力勝負で凡打やファウルを奪えたことで、気持ちの余裕につながった。今では「四隅を狙えるようになった」と心理面の変化が制球力向上につながった。