絶対エースが広島を踏みつぶした。巨人菅野智之投手(27)が、2試合連続の完封で首位攻防の初戦を制した。広島の強力打線を散発4安打に封じ込めて、リーグトップの3勝目をマーク。ケーシー・マギー内野手(34)の3号ソロで奪った虎の子の1点を守り抜いた。前回、本拠地で3連敗を喫した難敵との3連戦初戦で先勝。0・5ゲーム差に詰め、今日26日にも首位を奪取する。

 菅野がホームベースに背を向けた。1点リードの8回2死一塁。田中に中前打され一、二塁のピンチを招くと、ベンチから尾花投手コーチがマウンドに駆けてきた。内野陣の輪の中で、菅野は捕手の小林に「迷わず内を突っ込むぞ」と伝えた。次打者は菊池。「今日の感じなら、内角を張られていても強くはじき返せないなと」。見立て通りに初球の内角147キロで三直に仕留め、右拳を強く握りしめた。

 1人で投げ切るという強い意志は、ベンチにも伝わった。最終回は3者凡退で悠々と1点を守り抜いた。散発4安打116球で2試合連続の完封劇。昨季のリーグ覇者相手にプロ初となるスコア1-0での完封勝利。大仕事を爽快にやってのけたエースは「やってみたかった目標の1つ。すごく気持ちがいいです」と素直に喜んだ。

 2週間前の光景と対照的だった。11日の広島戦。同点の6回2死一、三塁で菊池を迎えたところで降板を告げられた。「投げ切りたかったのが本音。自分の中では田中を歩かせ、菊池で勝負と考えていたところだった」。首脳陣に前回の意図を伝えてから臨んでいた。この日は、ベンチに迷いすら与えなかった。8回にたった1度だけマウンドに向かった尾花投手コーチを「任せるしかない。フォークとカーブにさらに磨きがかかっていた」とうならせた。