歴史的な大逆転勝利だ。ヤクルトが中日戦でプロ野球タイ記録となる10点差をはねのけ、勝利した。7回表終了時に0-10で敗戦ムード濃厚だったが、7回に2点を返し、8回には打者一巡の猛攻で8点を挙げて同点。最後は延長10回に大松尚逸内野手(35)が右中間席へサヨナラソロを突き刺した。セ・リーグでは1951年以来66年ぶりの逆転劇。チーム一丸となって6月30日以来約1カ月ぶりの連勝をもぎ取り、自力CS消滅も防いだ。

 勝利を信じた思いが打球に乗った。10回1死走者なし。代打大松は中日伊藤の初球、147キロ直球を完璧にとらえた。「ライトスタンドのファンのみなさんの声援で伸びてくれと思っていました」。白球は小雨を切り裂き、高々と上がる。そのままヤクルトファンが総立ちで待つ右中間席へ突き刺さった。10点差をはねのける大逆転劇。「みんなの気持ちが最後にいい形でつながって良かった」と渡されたバトンを一振りで勝利に結びつけた。

 プロの意地が奇跡を引き起こした。5回終了時で0-10。敗戦ムードが色濃く漂った。だが、神宮は2万8654人の満員。多くのファンが見守る中、一方的に負けられないと三木ヘッドコーチが6回裏が始まる前に円陣を組んだ。「苦しい状況なのは間違いない。でも1点、1点を返していこう。ウチらしい戦いをしよう」。奮起させる言葉が打線に火をつけた。