広島ドラフト1位の広陵・中村奨成捕手(18)が29日、巨人小林誠司捕手(28)とドキドキの初対面を果たした。「心臓バクバクでした」。毎年恒例の広陵野球部OBが集まる少年野球教室。小林ら14人の先輩と、広島市安佐南区の約270人の小学生相手に身ぶり手ぶりで熱血指導した。

 約4時間、大先輩から吸収しようと、常に側にいた。ベンチに座るときも、グラウンドに入るときも、巨人小林について動いた。「とにかく近くにいました。ほぼ初対面ですけど、少しでも話が出来たらと思った」と初々しく明かした。常々、憧れの先輩を聞かれると「誠司さん」と挙げ、バット以外の道具は全部小林モデルでそろえた。中村奨にとって格好良く、大きな背中。濃厚な時間の中で、捕手として大事な部分として感じることがあった。

 「今日1日、面倒を見てくれた。すごく優しい先輩。誰にでも明るく振る舞われていたし、気配りをされていた」。あいさつはもちろん、相手の立て方や雰囲気づくりも完璧だった。捕手にとって、投手とのコミュニケーション力や冷静に周囲を見渡せる力は欠かせない要素。リードなど技術面以外の懐の深さを感じ、尊敬の念がより深まった。

 「自分とは比べものにならない。率先して周りを見るのは捕手としても大事ですから」。OBからは「奨成」と呼ばれ、すぐにとけ込んだ。小林先輩の振る舞いを目に焼き付け、1歩ずつ近づく。心強い先輩がたくさんいる。【池本泰尚】