5連敗を喫した試合後のベンチ裏。ロッテ鳥越裕介ヘッドコーチ(46)の声が響いた。

 「藤岡ちょっとこい!」。

 呼ばれたのは、西武との3連戦で11打数無安打に終わったドラフト2位の藤岡裕大内野手(24=トヨタ自動車)。

 鳥越ヘッドは打率が2割を切り、表情のさえない同内野手に向かって、周囲に響き渡る大きな声で「お前が打てなくても声を出し続けているのは素晴らしいことだと思う。だから下を向かんでやれや」とゲキを飛ばした。

 鳥越ヘッドは「あれはただのエールです。ファンの人と一緒です」と照れながら「今はしっかり守って、元気をだせばそれで良いと思う。最初から打った選手はいない。僕はプロに入った時は球が前に飛ばなかったんで」と叱咤(しった)激励した理由を説明した。

 楽天との開幕3連戦で打率4割を超す好スタートを切った藤岡裕だったが、その後は相手投手からの徹底的な内角攻めにあい、フォームを崩していった。途中15日ソフトバンク戦、17日オリックス戦と2戦連続アーチも放ったが、その後も調子は上向かない。この日で打率は1割9分7厘となった。

 「へこみますよ。途中で替えられるし。なんでこんなに打てないんだって思います」と藤岡裕。それでもコーチからの言葉に「鳥越さんには『守りに入ってる』って言われたんで、初心に帰ってやりたい」。微妙な体の開きやタイミングの取り方が修正され、本来の思い切りの良さが戻れば、また輝きだすはずだ。