広島の地で「トリプル100」を達成する。巨人上原浩治投手(43)が19日、日本人初の「通算100勝、100セーブ、100ホールド」に向けて意気込みを語った。17日の阪神戦で日米通算99ホールド目を挙げた。7連勝、5差に追い上げて臨む今日20日からの広島3連戦(マツダスタジアム)で大記録を決め、西日本豪雨の被災者を元気づける。

 大記録に王手をかけた上原が、西日本豪雨の被災地、広島に思いをはせた。「全員が広島のことに心を痛めている。広島の人が元気になればうれしい」。気温35度に近い新神戸駅のホームで汗を拭わず言った。

 野球の力を信じている。14日、熊本で行われた球宴第2戦で最年長登板を達成。地震の被害に見舞われた場所で思い切り腕を振った。登板前「一生懸命、全力で打つ、投げる姿を見て、何かを感じてもらえる力がある。まずは自分のために全力を尽くせば、何かを感じてもらえる」と話した。無心で、最大限の力を発揮すれば周囲の心が動くかもしれない。だからこそ「トリプル100」の記録がかかったマウンドに向けても「自分は自分のことをするだけなので」と言う。

 広島の硬いマウンドは、力を最大限に発揮できる場所だ。今季は6月26、28日に登板。投手陣は2試合で合計18失点を喫する中、右腕は2イニングを無失点に抑えた。“同い年”だったレジェンドの道筋も記録を予感させる。広島で43歳まで活躍した大野豊氏は通算148勝138セーブ。先発・救援と大活躍した姿が重なる。「トリプル100」達成なら日本人では初めて。日米でも08年にメジャーで記録したトム・ゴードン以来2人目の偉業だ。

 チームは7連勝と勢いに乗り、首位広島とは5ゲーム差と背中が見え始めた。それでも「首位広島とか関係なく、自分らは1日1日やるだけ」と繰り返した。仕事を全うすることが、チームの勝利、被災地への支援につながると分かっている。日米通算134勝、128セーブ、そして99ホールド。残り1の数字を広島で進める。【島根純】