西武が今オフ、菊池雄星投手(27)のポスティングシステム(入札制度)を利用したメジャー挑戦を認める方針であることが16日、分かった。

 今季の菊池は左肩の不調もあったが復調し、ここまで9勝2敗、防御率3・20。10年ぶりのリーグ優勝、日本一を目指すチームのエースとして安定感を発揮している。球団は数年来の働きを認め、夢を後押しする意向だ。

 機は熟した。球界関係者の話を総合すると、西武はここ数年にわたる菊池の貢献を高く評価しており、ポスティングシステムを利用した今オフのメジャー挑戦を認める方針だ。幼い頃から憧れ続け、花巻東時代にはNPBを経ないでの挑戦を真剣に考えた。夢の舞台でのプレーが、グッと現実味を帯びてきた。

 自身初の2桁勝利を挙げた16年オフ、球団に思いを伝えた。球団も夢への理解を示してきた。鈴木球団本部長は昨オフ「意向をずっと持っていると認識している」とした上で「全ての人が『頑張ってこいよ』と送り出すのであれば」と説明。今季の成績に加え、ファンなど周囲の後押しがあるかどうかをポイントに挙げていた。

 開幕前に「メジャーへの憧れはあります。でも、とにかく優勝したい」と臨んだ今季。左肩の機能低下により、5月始めから約1カ月の離脱を余儀なくされた。復帰後も、2段モーションを1段に変えるなど試行錯誤が続いた。だが、前回10日の楽天戦は7回3失点と好投。1段の投球フォームにも手応えを得ており、3年連続の2桁勝利に王手をかける9勝目を挙げた。シーズン終盤を前に本来の投球を取り戻しつつあり、先発の軸として10年ぶり優勝へ向かう原動力となっている。

 自身は「日本で認められてから」と夢を封印してきたが、周囲は圧倒的な能力を認め、フルマークを続けている。登板試合は、常に複数のメジャー球団スカウトが視察。評価は揺るぎないものになっている。大リーグ公式サイトが報じた移籍の可能性については「自分にはまだやり残したことがある。(優勝して)ファンの皆さんと一緒に喜べるように、そこに集中してやるだけ」と話した。先発の柱としての仕事を全うし、優勝の栄冠とともに夢の実現を目指す。

 

 ◆菊池雄星(きくち・ゆうせい)1991年(平3)6月17日、岩手県盛岡市生まれ。花巻東では甲子園に3度出場。3年春は準優勝、同年夏は4強。3年夏には最速155キロを計測した。09年ドラフトでは6球団競合の末、西武入団。184センチ、100キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸2億4000万円。妻はフリーアナウンサーの深津瑠美。