日本ハム清宮幸太郎内野手(19)が、8月25日楽天戦以来となる5号3ランを放った。1回2死一、二塁で、ソフトバンク武田の内角低めのカーブをすくい上げて右翼席に運んだ。チームは逆転負けで3連敗。2位ソフトバンクとの差は4ゲームに広がったが、最終盤に向けて大型新人が苦境から脱した意味は大きい。

鬱憤(うっぷん)が、少しだけ晴れた。清宮のバットから、久々に快音が響いた。1点を先制した1回2死一、二塁。「6番DH」で3試合ぶりにスタメンに入った清宮は「何とかしたいと思っていた」。2ボールから、ソフトバンク武田の宝刀、縦に大きく割れるカーブを、すくい上げた。「今までムズムズしていたけど、1本出てスッキリしました」。右中間席へ飛び込む5号3ランで、胸のつかえが取れた。

9月に入ってから、打撃は下降気味だった。試合前の月間打率は0割5分9厘。22打席に立ち、安打はわずか1本と苦しんでいた。最大震度7を記録した北海道の地震の後は無安打と、気合だけが空回り。「監督から『結果は気にするな』と言われた。受けていた部分があったので、今日は自分の打撃をしようと決めていた」。17打席ぶりの安打が本塁打となり、26日ぶりの“キヨダンス”を笑顔で披露。先頭の8回には右前打で出塁と、不振脱出のきっかけをつかんだ。

地震の影響で、本拠地での試合が2試合中止に。試合再開から3日後の16日オリックス戦(札幌ドーム)に、北海道恵庭市の女子中学3年生とその家族を招待した。この女子中学生、実は清宮が8月25日楽天戦で放った、通算4号で本拠地1号のホームランボールをキャッチ。どうしてよいか分からず1度は家に持ち帰ったが、清宮本人の手元にあったほうがよいと考えて、球団に返却を申し出たという。それを球団職員から伝え聞いた清宮は大感激。「直接会って、お礼が言いたい」と一家5人を球場に招き、サイン入りバットや家族分のレプリカユニホームと、自身の記念球を交換した。

ファンの気遣いに奮い立った怪物ルーキー。本塁打した試合は4戦連続勝ちなしと“勝ち運”のなさは気がかりだが「チャンスの場面でしっかり打って貢献できたら」と、前を向く。残り14試合で、何本のアーチを生み出すか注目だ。【中島宙恵】

▼日本ハム清宮が今季5本目の本塁打。高卒新人のシーズン5本塁打以上は14年森(西武=6本)以来で、2リーグ制後14人目。日本ハムでは59年張本以来2人目になる。