<日本S博多の陣>

3試合連続無失点だったソフトバンク・モイネロが広島丸に2ランを浴び、最速158キロ左腕の広島フランスアは6回2死二塁から9回途中まで2安打1失点だった。劇的サヨナラ弾で第6戦を迎える日本シリーズは「キューバ対ドミニカ共和国」の助っ人が勝敗を分けるカギになってきた。

ソフトバンクは2試合連続本塁打のデスパイネが欠場したが、グラシアル、先発左腕ミランダと4人のキューバ人が在籍。13年9月にキューバ選手の獲得が解禁になると、14年12月から中南米スカウトを常駐させて、選手発掘を強化。交渉窓口となるキューバ政府との信頼関係も築いてきた。

解禁当初は選手年俸の10%をキューバ政府に納め、90%が選手の取り分だったが、近年は球団側が110%払うことで選手の“負担”がなくなった。推定年俸4億円のデスパイネは本人に満額、キューバ政府に4000万円の計4億4000万円を支払う仕組みだ。広島から移動日の10月29日はデスパイネが自宅でつくったキューバ料理を後輩に振る舞い、ご機嫌な音楽でリフレッシュ。年俸2000万円のモイネロは「身近にいてアドバイスし合ったり、助け合うことができる」と刺激にする。

一方の広島は、90年に約6億円かけてドミニカ共和国にカープアカデミーを設立した。フランスア、バティスタ、メヒアらが同アカデミー出身で球場2面、寮などを完備し、現在も約20人がプロ契約を目指す。期待の若手は練習生として広島キャンプに参加し、育成選手→支配下登録でジャパニーズドリームをつかむ。

フランスアは練習生として14年に初来日し、4年後の今年5月に支配下登録された。自前で優良助っ人を育て、年俸880万円でフル回転。7回に明石に同点ソロを浴びたが、続くグラシアルは154キロの直球でバットをへし折った。外国人補強にも独自のアプローチを続ける両チームは、王手がかかった一戦でも助っ人のしびれるせめぎ合いが続きそうだ。【前田祐輔】