巨人菅野智之投手(29)が17日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2億円増の6億5000万円でサインした。04、05年の横浜(現DeNA)佐々木主浩に並ぶ、12球団の日本人歴代最高額。球団では02年松井秀喜の6億1000万円を超えた。来季目標に「20勝」「2年連続選考基準全項目クリアでの3年連続沢村賞」を掲げ、将来的に日本球界初の“10億円プレーヤー”になる夢も描いた。(金額は推定)

あの松井を超える年俸提示にも、菅野は落ち着き払っていた。単年、6億5000万円でサイン。「すごくいい評価をしていただいたと思います。今年のねぎらいの言葉や来年もさらに引き続き頑張ってほしいと言っていただきました」。1年間、右腕を振り続けた成果が勲章に結びついた。

思い描くステージは、はるか先にある。「将来的に10億円もらう選手がいてもおかしくないと思う。球団の収益も全チーム上がっているので、選手会でも出てきている話」と日本球界初の“10億円プレーヤー”誕生を見据える。メジャーでは18年ドジャース・カーショーの約39億円が最高額。海の向こうへ日本のトップ選手が夢を抱く現状に、日本の頂点を極めた者として思うことがある。

菅野 単純に僕は、小さい子がそういうのを目にしたら野球選手になりたいな、と思う人も増えてくるのかなと。お金だけじゃないと思いますけど、何とかそういうところまで目指していきたい。

未来の日本球界を担う子どもたちが憧れる環境を作るため、使命感を強めた。

夢のような数字を並べても、成長に終わりはない。今季は28試合で15勝、200奪三振、防御率2・14。それぞれの部門でタイトルを獲得し、目標として公言した200イニング、10完投も達成。選考基準全項目クリアで2年連続の沢村賞を勝ち取った。それでも「満足は1つもしていない。もうちょっと勝ち星を増やしたい。もっとできる自信もある。来年が楽しみ」と恐ろしいほどの向上心だ。

来季から、原監督が4年ぶりに指揮をとる。前回ともに戦ったプロ1、2年目の13、14年はリーグ優勝。「今の自分があるのは原監督のおかげ。この3年間で成長したという自負がある」と、一段と大きくなった姿を見せる。目標は「20勝」「2年連続選考基準全項目クリアでの3年連続沢村賞」。1段ずつ、夢への階段を上がっていく。【桑原幹久】