超のつく本格派左腕の復活だ。DeNA今永昇太投手(25)が広島との今季初戦に先発。菊池涼の単打1本だけの完封勝利で2勝目を挙げた。序盤から140キロ台後半のクロスファイアで押し、終盤の勝負どころでも力勝負を選択。昨季の不調を完全に払拭し、リーグ3連覇の相手を悠々と上回った。10日の阪神戦で浜口が1安打完封勝ちしたばかり。強力左腕2枚を並び立て、上位をうかがう。

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昨季2完投のチームが、今季既に2完封。三塁も進ませぬ今永の好投の背景に、DeNAの堅守が光る。開幕から13試合を消化し、失策数は12球団最少の2。広島は逆に最多の18だ。ラミレス監督は「チームがかみ合っているということでは」と言った。

連続守備機会の無失策記録更新中のロペスが一塁を守り、名手大和がセンターラインに入る。昨季三塁でゴールデングラブ賞の宮崎も存在感を示す。この日も2回1死一塁、三塁線への強烈な打球を後方に下がりながら逆シングルで好捕。抜ければ長打コースの打球を簡単にアウトにした。

チーム戦略も功を奏している。昨オフ、統計解析部門を設置。ダイヤモンドバックスと業務提携し、メジャーで多用される守備のデータを重視する。トラックマンで集めた情報をアナリストが分析。オープン戦からカウントや打者に応じ、大胆に守備シフトを変更する姿勢を貫いている。

広島戦でも、引っ張り傾向の強い松山の打席で内野陣全体を右側に寄せ、一塁線を締める場面があった。ラミレス監督は「失策が2個でシーズンが終わることはないが、今いいということは、今の強さを証明している」。高い技術と数値を裏打ちに、鉄壁の守備網を形成し、投手を支えている。IT企業ならではの戦略が浸透している。【栗田尚樹】