合言葉は「坂本止めて連敗止めろ!!」だ。阪神矢野燿大監督(50)がセ・リーグ新記録の開幕から36試合連続出塁中の巨人坂本勇の阻止を目指す。

今日14日からの巨人2連戦(東京ドーム)は今季6戦全敗のトラウマを振り払うカードだ。令和初の「伝統の一戦」はセ・リーグ3冠の坂本勇封じに全力を注ぐ。開幕から巨人戦8連敗なら史上初の悲劇。不名誉を阻止するつもりだ。

シンプルなフレーズに本音がにじみ出た。首位巨人との2連戦を翌日に控えた甲子園での指名練習後、矢野監督が武者震いした。今季は6戦6敗と屈辱にまみれる強敵が相手だ。敵地に乗り込む前「そりゃやり返したいよ」と語気を強めた。

絶好調の坂本勇封じこそ、シーズン初勝利への近道だろう。今季は開幕から36試合連続出塁中。プロ野球記録にもあと4戦と迫る。しかも打率3割4分9厘、13本塁打、30打点はリーグ3冠の充実ぶりだ。「坂本を止めろ!」がキーワードになる。打線全体を線で捉える指揮官は「そこだけに俺はこだわるわけじゃない」と前置きしつつ言う。

矢野監督 そりゃ止めたい。キーになる選手にはなってくる。向こうのムードも乗ってきやすい選手。投手は「よし、俺が止めてやる」という気持ちでいくのは大事。相手のモチベーションを自分のモチベーションに変えられる。明日止めたら「俺が止めたった!」っていうことにもなる。

指揮官も現役時代、捕手として坂本勇と勝負した。その非凡さはマスク越しから痛感する。「手ごわいでしょう。本人は『違う』と言うと思うけど、俺らからすると天才的な打ち方をするよね。あれだけ打てるゾーンが広くて右にも長打が打てる。俺らバッテリーはインサイドを意識させたい。それが本人は気にならないから厄介」。芸術的な内角打ちは脅威だろう。それだけに投手陣がカギを握る。

チームにとっては「連敗を止めろ!」もキーワードだ。今年は巨人に全敗。特に4月19日からは本拠地3連戦3連敗を喫し、チームもどん底だった。そこから持ち直して貯金1で対戦する。指揮官も「うちのチーム事情、状況も(前回と)違う。面白い戦いができるんじゃないかな。まずは投手が頑張らないとね」と声をはずませた。令和最初の「伝統の一戦」だ。キーワードはもう1つある。「勢いを止めるな!」。今季初のG倒で5月の進撃にはずみをつけたい。【酒井俊作】