ヤクルトが、ついに勝った。DeNAを5-2で下し、5月12日巨人戦以来3週間ぶりの白星を手にした。

初回に2番青木宣親外野手(37)から打線がつながり3点を先制すると、中4日で先発した原樹理投手(25)が6回2/3を1失点と好投。連敗をセ・リーグ記録で70年の球団ワーストに並ぶ16で止めた。4日から昨年は12球団最高勝率を収めた交流戦に突入する。

3週間の長い雨がようやくやんだ。雨のない左翼席に、咲き乱れた傘の花。勝利を祝う東京音頭が流れる中、小川監督の表情が和らいだ。「ホッとしたというのが、正直な気持ち。何とか連敗を止めなきゃという思いだった」とかみしめるように言葉を紡いだ。

出だしに、勝利への上昇気流に乗った。1回1死、青木がDeNA浜口の直球を中前にはじき返して出塁。山田哲が左前打で続き、バレンティンの一塁への打球を名手ロペスがファンブルし、1死満塁とした。村上が3球三振に倒れるも、大引が初球を狙い打ち。右中間を破り、3点を先制して主導権を握った。先発原は6回2/3を1失点。投打の歯車がかみ合った。

分厚い雲を「リアルてるてる坊主」が取っ払った。連敗中、青木は「やまない雨はない」と言い続けた。神宮のクラブハウスのロッカーにてるてる坊主を自作。つるしたが、白星は訪れなかった。ならばと美容院に駆け込み「小学生以来」の丸刈りで自らをてるてる坊主に変身。野手最年長の「青木大明神」として拝まれ「後輩におちょくられてるよ」と笑いながらも盛り上げ役になった。

もちろん、全員が青天を願っていた。神宮のベンチ裏の床は真っ白。バレンティン、青木、坂口が試合前に塩をまく姿に、若手が続いた。村上らは体に塩をすり込み、打席に立った。バレンティンは「毎日の準備、繰り返しで悪い運はいずれ消える」とルーティンを継続した。東郷神社の勝利と強運の「勝守」をクラブハウスから持ち出し、ベンチ裏に設置。「TODAY WIN!(今日は勝つ)」と書いたテープを添えて、勝利を願った。

連敗という名の雨は、16で止まった。負の連鎖に耐え、セ最長連敗の不名誉な歴史の更新を免れた。だからこそ、山田哲は「今日みたいな試合を続けないと。我慢強く、粘り強く、1点でも多く点を取って、1点でも少なく守って、勝つことができるチームだと思う。それを交流戦でも続けていきたい」と前を向いた。得た糧は大きい。昨季最高勝率の交流戦で、燕は飛べると証明する。【島根純】