日本ハム有原航平投手(27)が、7日のオリックス21回戦(札幌ドーム)で両リーグトップの14勝目を挙げた。6回を6安打4失点、77球で降板も、味方打線の大量8点の援護もあり、2試合ぶりに白星をつかんだ。今季は開幕からローテーションを守り、防御率、勝利数でリーグトップ、勝率、奪三振で同2位。15年の新人王以来となるタイトル獲得が、現実味を帯びてきた。

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有原の表情は曇っていた。試合後、報道陣からの問いかけにも、言葉が出てこない。「野手の皆さんが大量得点を取ってくれて、1イニングでも長く投げないといけなかった」。序盤から味方打線に火が付き、4回までに8点の援護を受けながら、ピリッとしない投球内容を、だれより自身が許せなかった。

初回先制の2点をもらった直後、2回1死から白崎に左中間ソロ弾を許した。3回以降は走者を背負いながら、要所を締めて無失点。だが、6回1死二塁から福田に右中間への適時三塁打を許すと、続く吉田正の2ランで4点差に詰め寄られた。「ああやって本塁打で失点すると最後まで投げられないので、そこは次に向けて修正していきたい」。最終的にチームは1点差で逃げ切り、自身のシーズン最多白星をまた1つ積み上げたが、勝ち投手とは思えないコメントが口をついた。

1年目の15年から107試合に登板し、うち103試合が先発。ローテーションの一角を守り続けてきた右腕の強みは、筋肉の質にある。通常先発投手は登板2日前か前日にマッサージを受けるなどで体を微調整するが、有原はほぼそれがない。チーム関係者によると、他の投手と比べ、肩や背中をはじめ、全身の筋肉が柔らかくてしなやかだという。柔らかい筋肉は、血流が良く、疲労も抜けやすい。マッサージケアを1度担当したトレーナーは「(柔らかくて)びっくりしました。こんな感じなんだと。まるで女の子みたいな肌をしているんですよ」と話す。

8月から続いた大失速から逆転でのCS進出を目指すチームは、本拠地に戻って2連勝。有原も、5年目にして防御率、勝利数でリーグトップを走り、勝率もトップが可能な位置につけるが「そこ(タイトル)は全然意識せず、チームが勝てるように、チームに貢献できるようにという思いで1年間やってきたので、引き続きチームが勝てるように投げていきたい」と強調した。残り15試合。チームを目標に到達させる投球が、タイトルにもつながるはずだ。【山崎純一】