阪神が延長戦の末に競り負け、12球団最速で10敗に到達した。

1-1の延長12回に4番手の斎藤友貴哉投手(27)が決勝打を浴び、代わったドラフト3位桐敷拓馬投手(22)も止められず、この回一挙5失点。打線が援護できず、伊藤将司投手(25)の9回1失点の好投も報われなかった。

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もう、頭を抱えるしかない。阪神が12球団最速の2桁黒星を喫した。4時間36分のロングゲームを終えた矢野監督は言葉を絞り出した。「まあ最後はね、もちろんピッチャーのところっていうのはあるけど。うん、1本が出なかったというね…」。9回の「あと1球」コールからの大暗転。まさかの悲劇が待っていた。

1-1の延長12回。4番手でマウンドに上がった斎藤が誤算だった。先頭牧に中前打を許すと、宮崎に四球。その後、1死一、三塁から大和に154キロを左翼にはじき返されて勝ち越しを許した。代わったドラフト3位桐敷も、大田に走者一掃の二塁打を浴びてジ・エンド。最後の最後に一挙5失点と打ち込まれて試合が壊れた。

「最後はピッチャー…」。ただ、時計の針を巻き戻せば、サヨナラの絶好機を逃した攻撃シーンが悔やまれる。延長10回には1死から中野が二塁打を放つも、江越、佐藤輝が凡退。11回には1死一、二塁から小幡が見逃し三振、梅野が遊ゴロとチャンスをつぶした。DeNAと同じ9安打を放つも、得点は伊藤将の適時打で刻んだわずか1得点。大拙攻が負の流れを引き寄せてしまった。

矢野監督の悩みは深い。「1本出ていないのが課題の部分でもある。最後の1イニングをどう抑えるかという、ピッチャーを育てていくという課題が開幕からある。そこらへんかな」。開幕11試合で10敗はセ・リーグ最速という不名誉記録。野球の神様はこれほどまでに猛虎に試練を与えるのか。甲子園のファンの顔にも疲労の色がにじんだ。【桝井聡】