西武“山賊打線”だ 首領山川でセパ20勝1番乗り

オリックス対西武 4回表西武2死、山川はソロ本塁打を放ち、喜びながら生還する(撮影・渦原淳)

 4番のバットで西武が両リーグ20勝一番乗りを決めた。山川穂高内野手(26)が4回にキング独走の12号先制ソロ。6回には貴重な追加点となる2点適時打を放ち、打点も37まで積み上げた。本塁打&打点でトップを突っ走る主砲の活躍でチームの連敗も2でストップ。抜群の破壊力から、ファンの間で“山賊打線”と呼ばれる今季の攻撃陣。その中心に、山川がいる。

 失速せず左翼5階席に突き刺さった。4回2死走者なし。山川はカウント1-1からの抜けたフォークをたたいた。キング争い独走の12号先制ソロに「甘い球をミスショットせず打てた。金子さんが『あの1球が…』と思うような球を仕留め切れてよかったです」とうなずいた。

 打線は3回まで無安打6三振に抑えられていた。「追い込まれるまでは甘い球待ち」で失投を逃さず、この日のファーストスイングで完璧に捉えた。今季12本塁打のうち3球目までのアーチは10本。姿勢は数字にしっかり表れるが、6回1死満塁では一転、バットが届く球は全て振った。

 2球ファウルのフルカウントから内角低め直球を振り切り、左前への2点適時打。試合の行方を獅子へと傾けた。「前に飛ばすことが優先。いけると思った球は手を出す。振らずに追い込まれていたら、打てなかったかもしれない。あの場面では、打てなかったことより手を出さなかった後悔の方が大きい。超超超積極的にいきました」。打点37も断然リーグトップ。満塁機の打率は6割6分7厘まで跳ね上がった。

 4番として局面に応じた仕事を遂行する中で、意識の変化も生まれている。現在の体重107キロから、徐々に減らしていくプランがある。「100キロくらいまで少しずつ絞ってみようかなと。今の感覚で打てれば、体重が減ってもホームランは減らない気がするんですよ」と打ち明けた。

 フルシーズン戦い抜いたことはなく、最多は昨季の78試合。高校時代には88キロまで絞った経験もある。「1年間、ケガなくしっかり戦う上ではコンディションも考えないといけない」。膝などへの負担を考慮するだけでない。打撃への手応えと、主軸を全うしたい決意があるからこその言葉だ。

 プロ野球タイ記録の5試合連続9点以上をマークし、1イニング5得点以上が12回もある強力打線。ファンの間では、相手の戦意を根こそぎ刈り取るような破壊力と威圧感から“山賊打線”と呼ばれる。そのど真ん中に座る山川。小休止した獅子が、力強い4番のバットから再び走りだした。【佐竹実】