斎藤佑樹ら「ショート・スターター」起用が現実味

日本ハム対アスレチックス 投手交代を告げる栗山英樹監督(撮影・黒川智章)

<プレシーズンゲーム:日本ハム6-6アスレチックス>◇18日◇東京ドーム

日本ハム栗山英樹監督(57)が、新たな投手起用法を導入するかもしれない。先発投手に短いイニングを託す「ショート・スターター」。昨季の大リーグで導入された救援投手が先発する「オープナー」をアレンジしたもの。候補のひとりである斎藤佑樹投手(30)は、アスレチックスとのプレシーズンゲームに先発し、2回を1安打1失点でまとめた。日本発の新ポジション確立が、現実味を帯びてきた。

  ◇    ◇    ◇

栗山監督がまた、野球界の固定観念を取り払うかもしれない。「ショート・スターター」。ア軍戦で先発した斎藤は、その可能性を広げてくれる存在の1人だ。2回に「明らかな失投で反省」と甘く入った直球でソロ本塁打を浴びたが、2回1安打1失点。ここまで実戦4試合は全て先発で最長イニングは3回。通算9イニング目で初めて失点したものの、抜群の制球力で試合序盤を抑える安定感を示している。

従来の「先発」とは違う新概念となる。責任投球回の5回以上を投げることが先発の役目とされてきたが、ショート・スターターは打者一巡、最長で3回を投げきることが役割。「力」ではなく、制球などの「技」でアウトを積み上げ、チームに流れを引き寄せる斎藤にとっても、個性が生きるポジションとなりそう。2番手以降との投球スタイルの違いで、相手打線を幻惑することも可能だ。

昨季の大リーグで導入された「オープナー」ともまた違うポジション。1軍登録枠が1増の29人となったことも、追い風になる。栗山監督は試合後の公式会見で、隣に座った斎藤に「佑樹、ごめんなさい。本当は長く投げさせてあげないといけないけど」と頭を下げた。だが斎藤は降板後、ブルペンでの追加投球などもしておらず、明らかに普通の調整ではない。「与えられたポジションでしっかり投げていくことが大事。目の前の打者を抑えることだけ集中して、起用法は監督に任せます」と意欲的だ。

投手陣を預かる木田投手チーフコーチは「起用で決まっているのは開幕の上沢と第2戦の金子だけ。栗山監督がいつも言っているように、どうやったらファイターズが優勝できるか。起用法は無数にある」と説明した。斎藤のほかにも、杉浦やロドリゲス、バーベイト、またオープナーに興味を示していた金子もショート・スターターの候補になりそう。「全員の力で日本一になる」と宣言する栗山監督が、どんな投手起用法を展開するのか。注目だ。【木下大輔】

<栗山監督の既成概念にとらわれない選手起用>

★二刀流 13年入団の大谷(現エンゼルス)を投打両方で起用。2、4年目には2桁勝利&2桁本塁打を記録し、大谷はメジャーでも二刀流で活躍。

★攻撃的2番 監督就任1年目、12年の開幕戦に「2番稲葉」のオーダーで臨む。「選手の能力を出して機能させる打線の組み方はいろいろ考えている」。昨季も大田が「恐怖の2番」と相手に恐れられた。

★1番投手大谷 16年7月3日ソフトバンク戦。先発大谷の闘志をかき立てるため、先頭打者で起用。大谷も期待に応え、初球先頭打者本塁打&8回10奪三振無失点で勝利。

★守護神増井の先発転向 16年7月、「本人のため、チームが優勝するため、命がけで考えた」と、調子の上がらなかった抑え・増井を先発へ転向させた。8月上旬に初先発のマウンドに上がると、同月18日オリックス戦から9月30日ロッテ戦の登板まで7連勝し、リーグ制覇&日本一の立役者のひとりに。