阪神松田遼馬投手(19)が日刊スポーツ新聞社制定「エネルギッシュ・タイガース」(協賛=ECC)の8月度MVPに選出された。8月の成績は12試合に投げ防御率0・69。8月29日の巨人戦(東京ドーム)でサヨナラ弾を打たれるまで、プロ初登板から17試合19イニング無失点を記録。8日の広島戦(マツダスタジアム)で初ホールドをマークするなど、リリーフ陣の1人に定着した。

 19歳の右腕が頭角を現した。松田だ。まだあどけない表情からは、想像できない荒々しさが魅力。「ポスト球児」と言われる豪腕で0を並べた。

 「投げさせてもらえる所で、一生懸命投げるだけです」

 8月8日の広島戦でプロ初ホールドを挙げた。0-0の緊迫した7回に登板した。先頭の代打安部をスライダーで空振り三振。続く丸、菊池は直球を決め球に、3者連続三振を奪い無失点に抑えた。

 無失点イニング数を重ねていった。「一番若いのが入って、ブルペンも勢いがつく。肩の状態もあるので、休ませながら使いたい」と中西投手コーチ。今春は1軍のキャンプに参加したが、右肩の張りを訴え離脱した。リハビリを乗り越えた2年目の松田が、ベテラン中継ぎ陣の中で躍動。圧巻のゼロ行進に、首脳陣からの信頼も厚くなっていった。次第に接戦の場面で登板する機会も増えた。

 「ミットに向けて思い切り投げるだけです。自分の仕事をしっかりするだけです」

 当初は大差リードか負けている状況での登板だった。だが、4日の巨人戦(東京ドーム)から勝ちパターンに組み込まれた。6点リードの7回、後輩藤浪からマウンドを受けた。中西コーチは「(藤浪に)代打を出した時点で1点差だったけど、遼馬とブルペンには伝えた」。1点差でも松田を投入したことを明かした。

 29日の巨人戦でサヨナラ弾を打たれるまで、7月13日のDeNA戦(甲子園)のプロ初登板から無失点を17試合、19イニングまで伸ばした。1軍のリリーフ陣の一角を担っている。

 勝負が懸かったマウンドでもやることは同じ。無心に腕を振っていく。真夏の虎に頼もしいリョウマが台頭した。