新型ウッチーに注目!

 ソフトバンク内川聖一外野手(31)が日本一奪回に向けて新春に熱~い決意表明だ。今年2月に新居を福岡に構えると明かし「永住宣言」。専用ジムを備えた内川基地から7年連続打率3割への旅を始める。まとめ役として仲間を焼き肉でもてなし、試合外ではちょっと抜けている?

 素の部分もさらけ出す。たっぷり思いを語った。

 定番の新春あいさつはこの際、割愛だ。温泉で有名な大分出身。内川は湯気の立ちそうな熱い言葉に3年ぶりの日本一奪回をかける思いを詰め込んだ。

 「去年はチームが4位に終わったのも含めて充実感はゼロですよ。本塁打や打点が自己最高と言われてもそうなんだという感じ。2011年は本当に楽しかった。あの思いをもう1度!

 それしかないです」

 オフに新たな4年契約を結んだ。球団の期待も大きく、まとめ役を頼まれた。

 「新しく入ってくる選手をまとめてほしいと。同い年の摂津もいて、間違いなく僕らがやらないといけない。今まで接点は少なかったけどお互い思っていることを話し、聞いてみたい」

 摂津と内川。ホークス投打の中心人物はこの2人だろう。内川は野手のリーダー格だ。ただ、生涯打率3割1分4厘で「打撃の神様」故川上氏さえも上回るバットマンは、プイッと冷徹な顔を見せる日があった今までの自分を反省した。

 「こういう立場になり、周りの物足りなさが目についたけど、自分が若い時にどんな気持ちだったのか…。あまり完璧を求めすぎても、厳しい存在になってしまう。それは違う」

 では、どうするのか。

 「知り合いに完璧な人ほど魅力がないと言われ、そう思った。グラウンドに入ったら人が一変するような形がいいかな。グラウンドのあいつってすごい、でもユニホーム脱いだら抜けてる、というのが必要かな。今までは全部一緒で、それを周りに感じさせたのは申し訳ない。普段は普段の内川聖一でいられればと。僕、ロッカーがチームで一番汚いですよ」

 いい意味での不完全人間へ。変体だ。変態ではない。スタイルを変える、変わる。文字にすれば「ウッチー」から「ウッチ~」といった感じ。違う一面を知ってもらうツールは好物の焼き肉を考えた。「内川焼き肉の会」を広めるそうだ。

 「おもてなし、していきますよ。若い選手が積極的に話をしてくれる存在になりたいし、何でも聞いてもらえるような立場であり続けたい」

 ジュウジュウと音を鳴らしながら、チームが強くなるための意見交換会。

 「チームで声出そう、明るくやろうというのも、大切で必要だけど、そこを超えた部分を求めないと成長できない。やっぱり強さ。ここで結果を出すという思いの強さを求めたいです」

 真のまとめ役になれるのか。ファンからじっくり姿を見られる1年となりそうだ。私生活では2月に内川邸が完成すると明かした。

 「嫁さんに『これだけは俺の空間を造らせて』と主張して、ジムとかティー打撃ができるトレーニング室をつくったんです。もう、福岡に腰を据える覚悟ですよ。メジャー?

 まったく気持ちはないし、福岡でしっかりやりたいんです」

 内川基地を設置して「永住宣言」もした。ここからV奪回へ、自身は落合博満以来となる7年連続打率3割というお化け的な数字への旅が始まる。最後に打撃への思いを語った。

 「欲を言えば、本塁打も打てて打率も打点も残せるのが一番いい。正直、何が自分の完成型か分からないし、満足はないと思う。だから構え、バット、調整方法を変える。2014年は2014年型の内川聖一でないと結果も出ない。勝ちにつながれば何でもいいです。極端な話、1点入るならヒットにならなくてもいい。それくらいの気持ちで1点を取りにいきます」

 くだけ口調と真面目な表情を入れ替えながら思いの丈を吐き出した。野球人として飛躍をかける1年が幕を開けた。【取材・構成

 押谷謙爾】