「4番サード中田」誕生に確信!

 日本ハム中田翔内野手(24)が、守備の達人から三塁コンバート成功の太鼓判を押された。3日、沖縄・名護キャンプに宮本慎也氏(43=日刊スポーツ評論家)が訪問。ゴールデングラブ賞を10度受賞した超一流の厳しい目で、三塁守備の動きをチェックされた。強肩から放たれる正確な送球を称賛され、めったに褒めない名手から合格点が与えられた。

 激しい雨音が響く室内練習場で、中田が守備の名手をうならせた。三塁に入った投内連係で、宮本氏の鋭い視線を受けながら軽快な動きを披露。どんな体勢でもぶれない送球が、現役時代にゴールデングラブ賞を計10度受賞した名内野手の目を引いた。

 宮本氏

 スローイングがいいからやれるでしょう。

 他人の守備をめったに褒めない宮本氏から、珍しく称賛の言葉が出た。「4番サード中田」の誕生を確信させたのは、送球の正確さだった。左翼のレギュラーとして定着した11年から2年連続でリーグの補殺王。制球力のある強肩が、内野守備に厳しい目を持つ宮本氏に太鼓判を押させた。

 捕球動作や三塁手としての動きは、まだまだ改善の余地がある。しかし、現時点でスローイングに難がなければ守備レベルは上がる一方。守備職人らしい目線から、コンバート成功にお墨付きを与えられた。日々、慣れないポジションで奮闘する若き主砲にも、うれしいひと言だった。

 中田

 ありがたい言葉を頂いた。一生懸命、頑張ります。

 外野手から内野手の転向は成功例が少ない。有名なのは「塀際の魔術師」と呼ばれた巨人高田繁氏(現DeNA・GM)。75年オフにチーム事情から左翼から三塁に挑戦。猛練習で翌76年はレギュラーを奪い、当時のダイヤモンドグラブ賞を受賞した。ドラフト指名時に日本ハムGMだった名手と同じ道を中田もたどれるのか。キャンプで毎日、厳しいノックを浴びせ続ける白井内野守備走塁兼作戦コーチは、手応えを感じている。「完全に、できるよ。あとは、本人のやる気次第。期待している」と、宮本氏と同様にお墨付きを与えた。

 中田も本気になっている。特守を行った前日2日には「期待に応えられなければ、試合に出る資格はない」と、並々ならぬ決意を明かしていた。大きな挑戦に臨む平成の怪物に、視察を終えた宮本氏から最後にメッセージが贈られた。

 宮本氏

 あとは地道な練習です。

 名手からの金言を胸に、中田が三塁のポジションを奪いにいく。【木下大輔】<中田の三塁挑戦経過>

 ◆本人希望

 07年ドラフト指名後、三塁を希望。球団側も要望を受け入れ、梨田監督は「三塁が一番チャンスがあるので」と期待を寄せた。

 ◆評価ダウン

 1年目の08年春季キャンプ初の紅白戦で三塁デビューも一塁悪送球で失策を記録。「守備はまだまだです」の中田に対し、梨田監督は「三塁の守備は計算できない」。並行して一塁守備の練習も行うようになる。

 ◆課題

 08年の2軍戦は56試合中、三塁で51試合に出場(途中交代含む)。送球難などの11失策で、セーフティーバントの処理など課題が浮き彫りとなった。

 ◆頓挫

 プロ2年間は内野手だったが、10年春季キャンプから外野手に挑戦。三塁の守備練習はストップした。

 ◆再挑戦プラン

 リーグ最多補殺など外野手として結果を残してきたが、昨秋に三塁での育成案が浮上。内野手の主砲を育てたい球団方針はフロントと栗山監督の強い希望も込められている。

 ◆猛特訓

 昨年10月、千葉・鎌ケ谷での秋季練習で三塁の特守を繰り返した。中田は「やっぱり難しいよ」と話したが、栗山監督は「意外と出来ているよね」と評価していた。