ホームランキングが試運転した。西武中村剛也内野手(31)が25日、所沢市の西武第2球場の室内練習場で約4カ月ぶりにフリー打撃を行った。シーズン終盤の9月下旬に右太もも裏痛、オフに右肘遊離軟骨の除去手術を受け、フリー打撃はしばらく封印していた。ティー打撃、マシン打撃と徐々にステップアップし、キャンプ1週間前にして封印を解いた。

 20球程度と数は多くはなかったが、振りには確かな鋭さが宿っていた。周囲には「慣らしだよ」と答えたが「ここの(打席の)土はオレの力に耐えられないな」と丸太のように太い両足がクルッと回り、軟らかい土をえぐった。まだ眠らせていたエンジンを軽く噴かせたのにすぎない。「久しぶりだったので、楽しくやれました」と出来を語るまでには至らなかった。

 昨季、5度目の本塁打王の戴冠を果たした。だがキャンプ中に左脇腹痛、開幕前に背中の張りで、中村にとっての開幕は4月下旬にずれ込んだ。ケガが最大の敵だ。だから慎重な姿勢を崩さない。「例年、この時期に打っていることもありますから。右肘は打撃より、スローイングの方が心配ですかね」と現状を冷静に見ている。

 今オフは「開幕1軍が目標」と何度も繰り返した。控えめではなく、スタート地点に立つことを主眼に置く。走りだしたらキングを止めることができないのは、誰もが知っている。【広重竜太郎】<中村の主な故障歴>

 ◆09年

 8月下旬に左太もも裏つけ根部分の炎症で約3週間の離脱。復帰後は指名打者に固定され、残り24戦で12発と量産した。

 ◆10年

 6月に右肘遊離軟骨の除去手術を受け、約2カ月半の離脱。25本塁打を放ったが、規定打席には到達できず。

 ◆12年

 6月中旬に左肩甲下筋損傷で約1カ月の離脱、復帰後は左膝を痛めながら強行出場を続けて2年連続本塁打王。だがオフに左膝前十字靱帯(じんたい)の再建および外側半月板損傷の修復手術を受けた。

 ◆13年

 前年手術の影響で前半戦を棒に振り、左肩の違和感で一軍復帰が遅れた。結局9月に昇格、26試合で4本塁打に終わった。