侍ジャパンのヤクルト山田哲人内野手(24)が、宮本慎也氏(46=日刊スポーツ評論家)とWBC特別対談に臨み、リアルな心境を吐露した。ヤクルトでともにプレーした先輩と後輩は、22日からの侍ジャパン宮崎合宿集合を目前に、世界を相手にした戦いについて語り合った。初の大舞台に挑む山田は、06年の第1回大会優勝メンバーの宮本氏に胸の内を明かした。【取材・構成=小島信行、鹿野雄太】
宮本氏(以下宮本) いよいよWBCが始まるね。楽しみ? それとも不安?
山田 もちろん、世界一を取りたいです! でも正直、そんなに楽しみではないです…(苦笑い)。いざ始まっても自分のことで精いっぱいだと思います。
宮本 楽しいと思えてできるんだったらいいけど、プレッシャーがあるのが当たり前。終わってみたら、いい経験だったと思える。やってる時は、みんな嫌だよ。しびれるよ。
山田 やっぱり、雰囲気は全然違いますか!?
宮本 オリンピックよりは、WBCのほうが平常心でやれるかなぁ。
山田 それは環境面の違いからですか!?
宮本 そうだね。アテネ五輪(04年、ギリシャ)は野球の盛んな国じゃないから、悪条件は多かったよ。芝は根付いてないし、日光も目に入った。WBCはプロの大会。06年にアメリカでやったときはホテルから警察の先導で球場入りしたし、もちろん球場もいい。もう緊張感はある?
山田 JAPANのユニホームを着たら緊張感が高まって、気持ちも引き締まってくると思います!
宮本 まだ、バッティングは本調子じゃないよな。キャンプの打撃練習の映像を見たけど、まだ腰のキレがない。
山田 そうですね…。まだ5、6割くらいです。
宮本 お正月の野球BAN(注)、全然打てなかっただろ? あれを見て、ちょっとおかしいなと思ったんだ。
山田 全然打てなかったです(苦笑い)。キャンプの最初のうちも、左肩の開きが早いなと感じていました。状態はだいぶ上がってきています。
宮本 やっぱり、死球の影響はあったの?(昨年7月30日に背中に当て、8月10日に登録抹消)
山田 正直、去年の終盤は少し残像がありました。今は全然、大丈夫です!
宮本 打順は上位だろうなと思うけど、何番を打つのか気になる?
山田 特にないですけど、1番よりは2番のほうがいいです(苦笑い)。
宮本 ヤクルトでも2番の経験はほとんどないよな。ここ一番はバントもしないとダメだぞ!?
山田 はい。でも、初回の1打席目に1人見てから打席に立ちたいんです。14年のシーズンはほとんど1番でしたけど、あまり好きじゃないですね…。
宮本 守備面はどう? 去年の11月の強化試合はサードで、最初の送球から怪しかったけど(笑い)。
山田 あの時は実際にミスもしてしまいました。サードはプロ2年目のウインターリーグ以来だったんですよ…。今回は小久保監督から「サードはない」と言われているので、大丈夫だと思います(笑い)。
宮本 体は去年より少し大きくなった気がする。体重は増えた?
山田 今は79キロで、去年の11月は74キロでした。毎年、シーズン終盤に落ちちゃうんです…。このオフは、下半身を中心にウエートで鍛えてきました。
宮本 あんまり食べないから、心配になっちゃうんだよ。それにしても、ここまでの選手になると思わなかったなぁ。
山田 僕も、30本以上ホームランを打てるようになるとは思わなかったです。
宮本 1年目の秋、キャンプで2、3日来たときに「守備がいい」って聞いてたんだけど、キャッチボールを見た瞬間に絶対ウソだと思った(笑い)。それで打撃練習を見たら、バッティングのほうが圧倒的に良かった。守備に不安があると、打撃にも影響する?
山田 自分ではそう考えたことはないんですけど…。11月の強化試合もサードで、結果的には全然打てていないですし。慣れない守備で、ちょっとソワソワしていた部分はありました。
宮本 今回は最低でもアメリカ(決勝ラウンド)まで行ってもらわないと、いま以上に野球人口が減る。プレッシャーばっかりかけているけど、それだけプレッシャーのかかる舞台ということだよ。
山田 世界一を取れるように、頑張ってきます!
宮本 アメリカに行ったら、メジャーに行きたくなるかもしれないよ!? 今回の試合会場はどこだっけ?
山田 ロサンゼルスです。今のところは(メジャー移籍は)考えてないですけど、ころころ変わりやすい性格なので…(苦笑い)。
宮本 あの球場は本当に素晴らしいよ。それはともかく、侍だぞ。髪形はチョンマゲで行け!
山田 …(笑い)。
(注)1月2日放送のテレビ朝日系「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」の人気コーナー「リアル野球BAN」