世界一奪還への挑戦が終わった。侍ジャパンが、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝のアメリカ戦に臨み、1-2で敗れた。先発菅野智之投手(27)が6回1失点の好投。クロスゲームに持ち込んだが、内野陣にミスが重なり失点し、打線も散発4安打と湿った。2大会連続で決勝進出を逃し、日本野球は大きな転換期を迎えた。小久保裕紀監督(45)は監督を退く。

 雨のドジャースタジアムが日本野球の限界を教えてくれた。4回1死。アメリカの3番イエリチが、セカンド菊池の正面に強いゴロを打った。「天然芝で滑るのは頭には入っていたけど、イレギュラーに反応できなかった」。守備範囲と強肩を根拠とし、外野の芝生に位置取りしていた。

 アンツーカーとの境目でバウンドが微妙に変わり、かつ、ぬれた芝生が微妙に球足も変えた。WBC球がグラブと右太ももをかすめ中堅まで転がった。2つの進塁を許し先制打への道筋ができた。敗退の1点もダイヤモンド内の過ちで献上した。同点の8回1死二、三塁。もちろん前進守備を敷いた。サード松田の正面にA・ジョーンズのゴロが来た。慎重に…の思いが、運んだ足を打球の数メートル手前で止め、そろってしまった。「グラブに入っていればホームに投げられた」。三塁のクロフォードは、ファンブルした瞬間セーフと分かるスタートを切っていた。

 ワールドシリーズ制覇の経験がある敵将リーランドは、勝つすべを熟知するリアリストだった。準決勝から採用されたリプレー検証を5回までに4度も使い、涼しい顔で試合を止めた。メジャーNO・1の飛ばし屋スタントンが8番に座る打線に、変則の実力派が並ぶブルペン。リズムを渡さずクロスゲームに持ち込めば、投打で最後に上回ると読んでいた。