メイウェザー(左)と那須川天心(2018年11月5日撮影)
メイウェザー(左)と那須川天心(2018年11月5日撮影)

今年も年末は格闘技イベントが花盛りだ。15年に始まったRIZINは総合格闘技が主体だが、キックボクシングも女子もある。今年は異色のカードが組まれた。当初は平成最後の異種格闘技戦と銘打たれたが、異種格闘技者の対戦へと変わった。神童といわれるキックボクサー那須川天心が、世界が認める5階級制覇ボクサーのフロイド・メイウェザーに挑む。

注目はルールだったが、基本はボクシング・ルールで体重差のある3回制となった。非公式試合。実質エキシビションになった。ガッカリしたファンも多いが、端から予想していたファンも多い。来年にはマニー・パッキャオと再戦も浮上している中、メイウェザーには小遣い稼ぎか!?

一方の那須川は世界に名を売るチャンスと意欲満々だ。将来ボクシングに転向するプランがある。すでに「世界王者になれる」という評価もあるが、その技量を図るには願ってもない試合にもなる。

5歳で極真空手を始め、小6でキックボクシングに転向し、15歳で14年にプロデビューした。父弘幸さんとの二人三脚だが、中3からはボクシングの帝拳ジムにも通っていた。「パンチを教えてほしい」と、知人を通じて葛西トレーナーに依頼があったのがきっかけだった。

15年にWBC世界ライトフライ級王者になった木村と、世界戦前にスパーリングしたことがあった。2階級上の体格、木村の減量や疲労はあったが、高校生だった那須川が互角以上だったという。「パンチ力があり、距離感もよく、急所への当て勘がいい。頭も柔軟でのみ込みが早い。目がいいから防御も抜群」と絶賛する。

葛西トレーナーは1年前から、東京・用賀にフィットネスボクシングジム「GLOVES」を開いた。プロ育成ではなく、一般会員に「楽しみながら、食べながら、締まった体作り」を教えている。その合間を縫って、那須川にも月に数度指導を続けている。

那須川には「ポテンシャルは負けていないが、ボクシングルールであり、階級も全然違う。それも相手は黒人選手。なめたらだめ」と話しているそうだ。現役時代に経験した、想像以上だった黒人特有のバネなどの身体能力を警戒する。作戦を聞くと「打たせないことが第一で終盤勝負」と言った。

異種格闘技戦と言えば、猪木とアリが代名詞といえる。ただし、試合内容は茶番と酷評された。状況はだいぶ違うが、今度はどんなファイトになるのか。何しろ、あのメイウェザーが日本でリングに上がるだけでも、見ものには違いない。【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)