「この子は強くなります。信念がただ者ではない子です」。先月1日、日本相撲協会退職が決まった元貴乃花親方(元横綱)が、自身の応援会サイト内のブログを更新。最後の弟子となる東序ノ口16枚目貴正樹(19=千賀ノ浦)を褒めた。

ブログを見た貴正樹は、困惑しながらも「うれしかった」と回顧する。師匠の言葉で印象に残っているのは「よく食べてよく寝ること」と、部屋頭の小結貴景勝と同じ回答。規則正しい生活が、成長への最大の近道だと教わってきた。

千賀ノ浦部屋での初稽古で、初めて三番稽古(同じ相手と続けて相撲を取る)を行った。3月に初土俵を踏んでから、旧貴乃花部屋での稽古は四股やすり足など基礎運動だけ。新師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)は「相撲を取らずに場所に出ていたのか」と仰天した。体ができるまでは相撲を取らせないという前師匠の方針だったという。中学時代はソフトテニス部で昨年まで体重は約70キロ。師匠の教えを守り、白米をかき込んだ。数日前、体重計に乗るとメーターは120キロ近くまで揺れていた。

今場所は2勝1敗と白星が先行する。出世を続けても「貴の字は変えません」。「平成の大横綱」23人目の教え子は、力強く言い切った。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)