これまで数々のスターが生まれたG1クライマックスに、新たなスター誕生の予感が漂う。ゴールデン☆スター、飯伏幸太(33)が25年を迎えた大会イチオシの注目選手だ。端正なマスクと、想像を絶する身体能力。さらに、キレたときの凶暴なファイト。さまざまな魅力を持つ飯伏が今年のG1を盛り上げる。

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 「プロレスやって12年目だけど、10年分くらいをこの2カ月で追い越した」と飯伏は笑う。今年に入って、飯伏を取り巻く環境は激変した。プロレス女子特集では地上波全局に取り上げられ、バラエティー番組出演は月3回ペース。NTTドコモのスマートフォンCMに起用され、プロレスを見たことのない飯伏ファンが急増している。

 DDTでは、宝塚やアイドルタレント並みに会場の出待ちが増え、団体が対策を検討中という。プロレスでも、1・4東京ドーム大会で、中邑真輔とのIWGPインターコンチネンタル選手権試合は、試合中にキレて壮絶な打撃戦を展開。今年のベストバウトと評価が高い。さらに、新日本の3月のニュージャパンカップで優勝するなど、実力もトップクラスに成長した。

 人気と実力が急激に上昇したなかで迎える今年のG1。昨年は、直前に故障で欠場し、その後ヘビー級に転向。真価が問われるという段階を通り越し、新日本の棚橋、中邑、オカダ、真壁の人気四天王に並び立つスター誕生が期待されている。【桝田朗】

 ◆飯伏幸太(いぶし・こうた)1982年(昭57)5月21日生まれ。鹿児島県姶良市出身。小学生時代からプロレスラーを志し、中卒時に新日本のテストを受けようとしたが親の説得で断念。加治木工高ではラグビー部に所属し県選抜入り。高校卒業後に上京し就職したが、新空手やプロレスのアマチュア団体などを経て、04年にDDT入り。同年7月にプロデビュー。13年10月に、新日本とDDTのダブル契約選手となる。芸能活動はオスカープロモーションに所属。181センチ、91キロ。決め技はフェニックス・スプラッシュ。

 ◆他の注目選手 飯伏とともに人気急上昇なのが「こけし」こと本間朋晃。昨年、史上初の全敗を喫した。13年優勝の内藤哲也は、メキシコ遠征から帰り不審な行動が目立つようになった。今大会でキャラクターが変わるかもしれない。矢野通は、エース棚橋を手玉に取ったように、くせ者ぶりは目が離せない。初出場のマイケル・エルガンは、ROHヘビー級のトップファイター。オカダのレインメーカーをやったり、器用な一面も。実力派だけに、侮れない存在だ。