元新日本の中邑真輔(36)が、未来のWWE世界ヘビー級王者を保証された。WWE入り後初の日本でのがい旋試合で、同王座3度戴冠のレジェンド、クリス・ジェリコ(45)を撃破。デビュー以来無敗を守り、試合後ジェリコに「将来のチャンピオン」と紹介された。

 中邑がリングでたぎり、必殺のヒザ蹴り「キンシャサ」2連発で試合を決めた。4月1日のデビュー戦から30試合以上無敗の驚異の記録は、日本でも続いた。かつて新日本にも登場し、WWEのレジェンドとなったジェリコも、敵ではなかった。試合後、歩み寄ったジェリコから「みんな中邑、中邑と騒ぐけど、今日はそれを証明する試合だった。彼は将来、WWEのチャンピオンになる」と最高の賛辞を受け、得意のイヤァオで締めくくった。

 「誰が自分に土をつけるか、ストーリーがそこから進んでいく。NXTならサモア・ジョーか。でも、それ以上に戦いたい相手がゴロゴロいる」。この日ハワイから帰国し、都内のVIPパーティーに駆けつけた中邑は、不敵な笑みを浮かべ言った。

 デビュー戦から、快進撃とともに米国のファンを増やし、会場を熱気の渦に巻き込んでいった。WWE傘下のNXTでデビューしながら、その待遇は破格。常に王者経験者と対戦し、来日前の6月26日にはWWE1軍で試合もした。今回のハワイ、日本大会もWWE本隊に同行。その中で結果を残してきた。

 「新日本は世界のトップ。そこで育ってきた結果が、今の活躍につながっている」と断言する。今回の日本大会は、世界の一流、中邑を見せるための舞台でもあった。7月のスマックダウン大会で、1軍昇格へのドラフトが行われる。中邑はNXTの中では1軍昇格の最右翼だ。【桝田朗】

 ◆WWE 米国最大のプロレス団体。1963年に設立されたWWWFが前身。その後WWFに改称し、02年に現在のWWEに。テレビ番組は毎週1400万人の米国人が視聴。傘下のNXTを含め、約120~150人の選手が所属。このうち「ロースター」と呼ばれるトップ選手は20~30人。

<中邑 in WWE>

 ◆破格のデビュー 4月1日、WWE最大のイベント「レッスルマニア」週間の一環としてダラスで開催のNXTテイクオーバー大会でWWEでは異例の日本名のままデビュー。その模様は全世界に生中継された。

 ◆キンシャサ 中邑の決め技ボマイェは、ボマイェの起源となった故ムハマド・アリさんの偉業となったキンシャサの奇跡にちなんでキンシャサと“改名”。

 ◆待遇はWWE 傘下のNXTからのスタートも6月の欧州遠征、初のハワイ公演、日本大会とWWE1軍の興行に抜てきされた。