日本ボクシングコミッション(JBC)は25日、体重超過でWBC世界フライ級王座を剥奪された比嘉大吾(22=白井・具志堅)に、ボクサーライセンス無期限停止処分を下した。ファイトマネー相当額の20%を制裁金とし、復帰には1階級以上上げることを義務付けた。処分停止解除は定期的に体調管理報告などを受け、総合的に勘案して決める。具志堅会長、野木トレーナー、滝田マネジャーは戒告処分。世界戦で日本人初の失態に過去例のない重い処分となった。

 JBCは前日24日にジムから報告書が届くと、この日午前に倫理委員会を開いた。比嘉が900グラム超過で世界戦では日本人初の計量失敗、王座剥奪の上にギブアップで9回TKO負けから10日目。階級制スポーツに反する大失態に、処分は厳しいものとなった。

 安河内事務局長は「影響は計り知れなく、懲罰の意味で重い処分とした。日本の宝であり、将来を見据えた救済も考えた」と説明した。体重超過は過去1年間停止が最長も、興行優先で途中解除した例もある。「期限を設けて再起ありきではない」とし、処分解除は定期的に健康状態や管理報告を受けて判断していく。

 倫理委員会では再発防止策として、体重超過への罰則規定も話し合われた。5月中旬までにまとめる予定だが、制限体重を3%超過した場合は、再計量もせずに試合中止とする規定を設ける方針を明かした。

 世界戦は認定団体との合意が必要だが、安河内事務局長は「階級制であり、フェアが条件の競技。日本が世界の流れをつくっていきたい」と話した。JBCでは当日計量も実施し、8%超過選手には昇級を勧告している。今後は2回目の8%、1回目も12%超過選手は強制的に昇級させる考えも示した。

 3月に山中の世界再挑戦で体重超過した王者ネリは、日本から永久追放となった。国内では今年、体重超過がすでに6件と増加傾向にあり、計量失敗で棄権した日本王者もいる。今、ボクシング界のあり方が問われている。【河合香】