WBC世界スーパーフェザー級王者の粟生隆寛(28=帝拳)がボクシング界の代表としてプロ野球の大一番に対抗する。今日27日、東京国際フォーラムで同級4位ガマリエル・ディアス(31=メキシコ)と4度目の防衛戦を行う。26日の計量は両者ともにパスした。自身8度目の世界戦は初の単独メーンで日本シリーズ開幕戦と重なった。勝てば28日の日本シリーズ第2戦のテレビ中継のゲストに呼ばれることが決定。鮮やかなKOでボクシングをアピールする。

 巨人VS日本ハムの日本シリーズに負けられない。粟生の4度目の防衛戦は、日本シリーズの開始の2時間5分前の午後4時5分にゴングが鳴る。この日の計量後「日本シリーズは盛り上がる。自分もインパクトある試合をしたい」とKO勝利を予告した。

 これまでの世界戦は兄と慕う長谷川らと一緒の興行が多かった。今回は8度目の世界戦で初の単独メーン。帝拳ジムの先輩、西岡がドネアに敗れたことで、ジムの顔としての役目も背負う。自らのファイトでボクシングをアピールする決意は強い。

 1階級下のフェザー級の世界王者になってから3年半。ボクシング界の顔としての責任感も増している。23日の公開練習では、ボクサー人生初のKO宣言。25日の調印式では、これもボクサー人生初の相手とのにらみ合いをした。ただ勝てばいいのではなく、興行を盛り上げることも考えるようになってきた。

 この日の計量は58・9キロのリミットでパスした。9月から病院が考案した特製減量食をとり、1日も飲まず食わずの日はつくらなかった。計量前日25日もバランス栄養食「カロリーメイト」も食べるなど、コンディションは万全。予告通りのKOも期待できそうだ。

 4度目の防衛に成功すれば、28日の日本シリーズ第2戦のテレビ中継にゲスト出演することも決まった。千葉県生まれのため、パ・リーグは千葉ロッテファンだが、セ・リーグは子供のころからテレビ中継を見てきた巨人ファン。すっきり勝って、日本シリーズを堪能する。【田口潤】