どん底まで転落した苦労人が、まずは再浮上の第1歩となる優勝をつかんだ。

 東序ノ口11枚目の舛ノ山(ますのやま、25=千賀ノ浦、本名・加藤大晴、千葉県栄町生まれ)が、序二段の覇王(19=式秀)を押し出しで破り、7戦全勝で序ノ口優勝を果たした。

 突き、押しの応酬から、回り込んで懐にもぐろうとする覇王を飛び込ませず、少してこずったものの得意の相撲で押し出した。「まだ足が使えず、ついて行けない感じでしたが、おなかを出して足だけ出していけば大丈夫、と思って取りました」と話し笑みをこぼした。

 12年九州場所で、自己最高位の西前頭4枚目まで番付を上げた。だが右膝脱臼や半月板損傷の重傷を負い、5連続休場も経験。今年春場所で丸1年ぶりに皆勤した時は、番付を東序二段61枚目まで落としていた。その場所は6勝1敗で再スタートを切ったが、5月の夏場所で悪化。1番相撲を取っただけで、翌名古屋場所を含め連続休場。今場所は丸10年ぶりとなる序ノ口での相撲だった。

 5月に悪化させた時は「さすがに(気力が)なえました」と言うが、後援会や応援してくれるファンからの「いつまでも(関取になるまで)待っている。戻ってきて」という声に励まされて「終わっちゃダメだ」と奮起した。「焦ってはいけないけど、関取に戻るのことを照準に合わせて頑張ります」と自分に言い聞かせていた。