4場所ぶりの関取復帰を目指した3月の春場所で1勝5敗1休と負け越し、番付を2ケタに落とした東幕下19枚目の豊ノ島(33=時津風)が1番相撲に登場。西18枚目の武玄大(28=藤島)に突き落としで敗れ、黒星発進となった。

 「全てイメージ通りの相撲だった」と話すように、昨年九州場所の3番相撲で敗れた一番を頭に入れ、相手の引き技は警戒していた。思い通りに差して、右のかいなを返しながら一気の寄り。だが、ここで再び落とし穴があった。左に回り込む相手に、足がついていけない。右から突き落とされ前のめりに倒された。

 足の運びはケガの影響を感じさせず、復調を思わせた。だが豊ノ島は「足がもう1歩、ついて行かなかった。上体だけで出ようとしたから(引き技を)食ってしまった。はたきに気をつけようと分かっていて食ってしまったのが、自分的には心配」と悔やんだ。

 部屋を出る時から、若い衆から「顔が緊張してますよ」と言われたという。1場所15番を取れない幕下以下では、1番の重みが増してくる。「本当に1番1番が大事になってくるから『負けられない』という気持ちで、すごく緊張してしまった」と素直に話す。

 百戦錬磨の元関脇の勝負はここから。「負けたけど初日を取ったことで(緊張が)ほぐれた。気持ちが切れたら引退しかない。気持ちを落とさず焦らず、長い目で見てこの1年で(関取に)戻れたらいい」と自分に言い聞かせるように話した。