大相撲の横綱日馬富士(33=伊勢ケ浜)による暴行判明から一夜明けた15日、日本相撲協会の処分決定が年明けとなる可能性が出てきた。被害を受けた平幕貴ノ岩(27)の師匠貴乃花親方(元横綱)が鳥取県警に被害届を提出。日本相撲協会は警察への捜査協力を最優先することを確認し、独自組織の危機管理委員会による調査を後回し、身動きが取れない状態となった。

 日馬富士の師匠の伊勢ケ浜親方、貴ノ岩の師匠の貴乃花親方ともに、警察と危機管理委員会への協力を優先するため、報道陣に多くを語らなかった。仮に警察に提供した証言を口外すれば、捜査の遅れを招く可能性もある。それだけに伊勢ケ浜親方は「私からは何も話すことはない」などと話した。貴乃花親方も14日に「答えられません」などと話すにとどまった。

 貴乃花部屋は、前日14日は朝稽古の取材にも応じていたが、この日は駆け付けた大勢の報道陣を、敷地内に立ち入らせなかった。貴乃花親方は10月29日に鳥取県警に被害届を提出しながら、11月3日の協会からの聞き取りには、「転倒してけがをした。(状況は)分からない」などと証言。謎が残る対応に、複数の親方からは「相撲協会内の人間でも疑問に思っていることがあるので、きっちりと説明してほしい」といった話が出ている。