大相撲の十両でエジプト出身の大砂嵐(25=大嶽)が1月初め、長野県内で車を運転中に追突事故を起こしたとして県警が道交法違反容疑で捜査していることが21日、捜査関係者への取材で分かった。当時、無免許運転だった疑いも持たれている。日本相撲協会によると、本人は運転していたことを否定している。相撲協会は内規で現役力士の運転を禁じている。

 相撲協会は緊急協議を開き、大砂嵐と師匠の大嶽親方(元十両大竜)から事情聴取。協議後、春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)は、大砂嵐が22日から初場所を休場すると発表し、協会に事故を報告していなかったことも明らかにした。

 大嶽親方は「師匠としておわびします。大事な時にこういう問題を起こし、私にも報告していなかった」と述べた。

 大相撲界は、刑事事件に発展した元横綱日馬富士関による暴行問題や、立行司のセクハラ行為からの信頼回復を図っている途中だが、新たな不祥事が発覚したことによるダメージは必至だ。

 春日野広報部長によると、車には大砂嵐と妻が乗っており、本人は「自分は運転しておらず、妻が運転していた。事故が起き、妊娠中の妻をかばおうと、運転席に移った」と主張している。相撲協会は22日以降、詳しい状況を確認するとしている。物損事故で、相手側の損害は大砂嵐が弁済した。

 相撲協会は1985年に幕内だった水戸泉(現錦戸親方)が起こした事故をきっかけに、現役力士に車の運転を禁じるようになった。

 大砂嵐はアフリカ大陸からの初の力士で、2012年の春場所で初土俵を踏み、13年の九州場所で新入幕を果たした。恵まれた体格とパワーを生かした取組で相撲ファンの人気を呼び、自己最高位は15年の九州場所の前頭筆頭だった。

 現在の番付は西十両8枚目。14日初日の初場所にも出場し、8日目まで1勝7敗の成績だった。