元横綱日馬富士関の傷害事件の被害者の西十両12枚目貴ノ岩(28=貴乃花)が、西十両5枚目の照ノ富士(26=伊勢ケ浜)を破って、夏場所での十両残留を確実にした。

 互いに様子を見るように、ふわっと立ち上がった。照ノ富士に左腕を伸ばして右肩をつかまれたが、その腕をたぐってバランスを崩して押し出した。「よく見えていた」と冷静だった。

 昨年10月25日夜、巡業先の鳥取市内で発生した傷害事件の現場となった酒席に、照ノ富士も同席していた。事件当時は互いに幕内だったが、貴ノ岩は傷害事件の影響で2場所連続全休、照ノ富士は古傷の左膝の負傷や糖尿病を患い途中休場が続き、2人そろって今場所で十両に陥落した。対戦はちょうど1年前の春場所で、大関だった照ノ富士が平幕の貴ノ岩を寄り切りで下したが、舞台を十両の土俵に移した今場所は貴ノ岩に軍配が上がった。久しぶりの対戦の感想を問われるも「そうですね」と、小さい声でつぶやくにとどめた。