関脇経験者で東幕下14枚目の豊ノ島(34=時津風)が、今場所最後の7番相撲に登場。同18枚目の芝(26=木瀬)を、会心の相撲で寄り切って5勝目(2敗)。白星で締めくくった。

 出番の1番前で、幕内でともに戦った豊響(境川)が勝ち越しをかけて登場。前に出る相撲で快勝したのを見届けての土俵だった。その一番を「気になってましたよ。いい相撲だったし、いい意味で(来場所の番付が)近くなりたくなかったからね。最後に(自分が)負けたら近いから」。

 自分も4勝3敗で終われば、今場所6枚差で豊ノ島が上だった番付が来場所も同じ程度の差にとどまり、再戦の可能性がある。図らずも今場所は、互いに勝ち越しをかけた4番相撲で対戦し勝っているが、ともに関取復帰をかける身として“同士打ち”は避けたかったのだろう。そんな思いもモチベーションになり、左四つから右はまわしに手がかからなかったが、押っつけながら圧力をかけドッシリ腰を下ろして芝を寄り切った。

 7戦全勝なら再十両だった今場所。4連勝し「いつまでも、こんなところにいたくない」と話していた幕下脱出の夢を残り3番にかけたが、5番相撲で敗れ消滅。連敗して迎えた最後の相撲だったが、気持ちを切らさずに締めた。「最低でも6番、勝っておかなければいけなかった。ただ内容的には前に出られたし、その意味では最後、しっかり勝って良しとします」。

 転落の始まりは、2年前の名古屋場所前。朝稽古で左アキレス腱(けん)を皮下断裂したことに始まる。苦い思い出が残る7月の名古屋で、再び関取復帰にチャレンジする。