2年間の苦労が報われそうだ。13場所ぶりの関取復帰を有力にしている、関脇経験者で西幕下筆頭の豊ノ島(35=時津風)が、今場所の6番相撲に登場。4勝1敗同士の対戦で、やはり幕内経験者で東幕下9枚目の蒼国来(34=荒汐)と対戦。一気の出足で左を差し、最後は右を抱えながら寄り切りで勝ち、貴重な5勝目を挙げた。

再十両には、十両からの陥落者と、幕下上位の星取の兼ね合いになる。11日目を終え、十両から幕下への陥落は2人となりそうだ。一方、幕下から十両への昇進で、豊ノ島を上回る可能性があるのは、東幕下5枚目で6戦全勝の極芯道(錦戸)ただ1人。取組後、再十両を確信したのか、豊ノ島は「これで決まりですかね」とホッとひと息つきながら発した。

4戦全勝とした時に、思わず涙を流してしまい、5番相撲で初黒星。この時は「有力」止まりの状況で、フライング気味の早合点を猛省。気持ちを切り替えて臨んでいた。「本来は、ここで泣くべきでしたね。泣きましょうか」とタオルを顔にあてるジョークで笑った。余裕からか、しばし談笑の後、幕下生活が続いたこの2年間を振り返り「自分自身を強くさせてくれた2年間だった。惨めな姿もあったし、やめたらどうだ、という時期もあった。この2年でやめなかったんだから、これから先も簡単にはやめたくないなと強く思うようになった」と、しみじみ話した。

帰り際の通路で取材に応じている時、思わず来客が。共通の知人を通して知り合った、元ドイツ代表でサッカーJ1神戸のFWポドルスキだった。通訳を挟んで旧交を温めた後、ドイツ代表のサイン入りユニホームをプレゼントされた豊ノ島。「お返しをしないと」という問いかけに「(この日の)白星」と、胸を張って答えていた。再十両は、秋場所後の26日に開かれる大相撲九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)の番付編成会議で正式に決まる。