大相撲の横綱白鵬(33=宮城野)が全勝優勝を果たした秋場所千秋楽翌日の24日、都内で一夜明け会見を行った。前夜は祝杯を挙げたが「全然酔わなかったし気持ちよく寝られた」と表情は晴れやかだった。

今場所のターニングポイントに5日目の小結貴景勝(22=貴乃花)戦を挙げた。痛めた右足で土俵際に残り、逆転の白星。9日目に対戦した関脇御嶽海(25=出羽海)を含めて「彼らは今後の大相撲を間違いなく引っ張る存在」とし、「彼らに勝って今場所いけるんじゃないかと思った」と優勝を予感したという。先場所は右膝を痛めて途中休場。左足首には夏巡業の最終日までテーピングを施していた。「場所前から考えてみれば全勝は夢のまた夢」。稽古と並行してけがを治療し、本場所では初日から快調な滑り出し。不安を取り除き、徐々に自信を深めていき、横綱800勝と幕内通算1000勝を達成した。

復活したライバルへの思いも口にした。8場所連続休場から復帰し、今場所2桁勝利を挙げた横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)について「8場所休場は、私には想像できない。どんな相撲を取るのかと思ったけど、本当に見事な相撲だった」と称賛を惜しまなかった。「稀勢関が私を磨いてくれた。眠ったものを起こさせてくれた」と、改めて感謝した。

次なる目標は、2年後の東京五輪・パラリンピックまで土俵に上がり続けること。4月に死去した父ジジド・ムンフバトさんが64年の東京五輪にレスリング選手として出場し、特別な思いがある。「親は子どもの頑張りが一番うれしいもの。いなくなってもどこかで見ている、そう思って頑張れば結果も出る。何とか現役で東京オリンピックを迎えて、相撲協会ととも活動できれば」。数々の記録を打ち立てた横綱は、2020年へ再スタートを切った。