日本相撲協会は3日、西十両5枚目の貴ノ富士(22=千賀ノ浦)が、付け人の序二段力士に暴力を振るったと発表した。師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)がこの日午後、都内の相撲協会を訪れ、鏡山コンプライアンス部長(元関脇多賀竜)に報告。秋場所(8日初日、東京・両国国技館)を謹慎休場するという申し出を了承された。

貴ノ富士は、貴公俊のしこ名だった改名前の昨年3月の春場所8日目にも、別の付け人を何度も殴る暴行。今後、コンプライアンス委員会で処分が決まるが、繰り返しの暴力に、解雇など重い処分が下される可能性もある。

発表した芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「残念というよりは遺憾。協会は暴力との決別宣言をしている以上、繰り返すことが重い。何のために研修などで教育しているのか分かっていない。八角理事長(元横綱北勝海)も『大変遺憾』と話していた」と、語気を強めて話した。聞き取りなどによるコンプライアンス委の調査が終わるまで、暴力の詳細は明かされないが「外傷はない」(芝田山部長)という。病院にも行っておらず、被害者力士や家族が、警察に被害届を提出する予定はないという。

暴力は8月31日の稽古総見後、部屋に戻ってから起きた。被害者力士は1日まで部屋で過ごしたが、2日朝になって不在となったことが分かった。千賀ノ浦親方が連絡を取って事情を聴いたところ、貴ノ富士の暴力が判明。2日深夜に詳細を把握したため、この日の報告となった。

千賀ノ浦親方は「こういうことをしてしまって申し訳ない」とコメント。芝田山部長は「貴ノ富士は2回目。重く受け止めないといけない」と話した。今後、コンプライアンス委が詳細を調査する。

 

◆貴ノ富士三造(たかのふじ・さんぞう)本名上山剛。1997年(平9)5月13日、栃木・小山市生まれ。13年春場所初土俵。昨年春場所新十両も、付け人への暴力で途中休場し、翌夏場所も謹慎で全休。今年は春場所で再十両、陥落したが翌夏場所は幕下で優勝し、3度目の十両昇進となった名古屋場所は11勝4敗の好成績。秋場所は自己最高位だった。中学時代はバスケットボールで、双子の弟の十両貴源治とともに、日本代表八村塁からライバル視されていた。家族は両親と弟。190センチ、157キロ。