春日野部屋で不祥事、力士が傷害罪で16年有罪判決

春日野部屋(2016年6月17日撮影)

 大相撲の春日野部屋に所属していた力士(23)が弟弟子(22)の顔を殴って傷害罪で起訴され、2016年6月に懲役3年、執行猶予4年の有罪判決が確定していたことが24日、関係者への取材で分かった。

 同年1月、日本相撲協会理事に就任した春日野親方(元関脇栃乃和歌)は事件の存在を公表していない。新たな不祥事が発覚したことで、元横綱日馬富士関暴行事件に揺れる角界の体質が改めて問われそうだ。

 春日野親方は現在も相撲協会理事で、広報部長として情報発信も担っている。共同通信の取材に「(力士は)辞めてますから」と述べ、公表する必要はないとの考えを示した。責任問題に発展するのは必至で、2月に予定されている協会の理事候補選挙にも影響しそうだ。

 相撲協会は春日野部屋側から報告を受けたとしているが、時期や詳しい内容は明らかにしていない。

 弟弟子は顎を骨折して味覚消失などの後遺症を負い引退。「若手力士の間では他にも暴力事件があると思う。協会は隠さないで全て公表してほしい」と訴えている。

 加害者の元力士は取材に応じ「殴ったことは悪かった。自分自身の問題で部屋が悪いわけではない。(事件のことを)話すなと言われたことはない」と話した。

 関係者の証言などによると、弟弟子を暴行したのは13年に新弟子検査に合格し、15年7月の名古屋場所を最後に引退した福岡市の元力士。14年9月5日夜、7カ月前に入門したばかりの弟弟子の顔を拳で殴ったり、腹を蹴ったりした。元力士が部屋の掃除の仕方を注意しようとした際にトラブルになったのが原因だったという。

 弟弟子は全治1年6カ月と診断された。弟弟子側は14年10月、元力士を警視庁に刑事告訴。書類送検を受けた東京地検が傷害罪で起訴し、東京地裁が16年6月に有罪判決を言い渡し、確定した。必要な治療を受けさせなかったとして、春日野親方も保護責任者遺棄容疑で告訴したが、不起訴処分となった。

 春日野親方は16年1月、相撲協会の理事に当選。同3月に広報部長に就任した。日馬富士関の暴行事件で記者対応を担当し、現在は貴乃花親方(元横綱)の理事解任で空席となった巡業部長も兼任している。