今月いっぱいでSKE48を卒業する松井玲奈(24)が卒業コンサート最終日を行った。グループ史上最多となる4万5000人のファンの前で、この日のために書き下ろされた卒業ソング「2588日」などを披露。今日31日の劇場最終公演で、7年間のアイドル生活を締めくくる。

 もう1度見たかった光景が、目前に広がった。仲間の大切さを歌った「仲間の歌」。客席のペンライトがオレンジ色に染まると、松井玲の表情が晴れわたった。昨年2月のナゴヤドーム公演でも行われたファンの演出だが、全メンバーが見ることはできなかった。「オレンジの光が見たかったのは、ナゴヤドームでは全員で見られなかったから。見たことないぐらい、すてきな景色だった」。自分が主役のコンサートで、仲間への愛に感謝した。

 08年7月30日、オーディションに合格してから7年。この日までのアイドル活動の日数を曲名にした「2588日」を、涙をこらえながら歌った。「7年。言葉にすると長いようですけど、体感的にはあっという間でした」。ここがゴールではない。「目標の女優と、アイドルは地続き」と思うからこそ、笑顔で再スタートを切りたかった。「ダブル松井」の一角、盟友松井珠理奈(18)から「素直になれなかったけど、玲奈ちゃんのことが大好き」と涙で告白されると、「よく頑張ったね」とほほえみかけた。

 08年10月5日、初の劇場公演は最後列の端で踊る日陰の存在だった。誰にも見られていなかった背中を、プロ根性で自ら前へと押した。日に何度もブログを更新するようになり7年で握手したファンは数十万人。自ら「握手の回数ならギネスを狙える」と公言するファンとの交流を自信につなげた。

 デビュー当初から「10年に1人の逸材」と注目された松井珠と好対照のコンビで、グループの看板を背負ってきた。積み重ねた1日、1日が集大成の「2588日」。同期の大矢真那は「最近の玲奈は気持ちをありのままに言う。その姿を見て、すごく大きな荷物を下ろしたんだな」と労をねぎらった。

 最後のミュージックビデオ撮影も、主演映画の初日も雨という雨女。ファンからは2588個のてるてる坊主を贈られた。そのかいあってか、降水確率90%の会場から、雨雲が消えた。「SKEは私にとっての青春です。みなさん、また会いましょう!」。松井玲がステージの奥へ姿を消すと、待っていたかのようにスタジアムに涙雨が降り注いだ。【森本隆】

 ◆松井玲奈(まつい・れな)1991年(平3)7月27日生まれ、愛知県出身。08年10月、SKE48の1期生メンバーとして劇場デビュー。SKE48のシングル18作すべてに選抜入りしたほか、AKB48でも選抜常連。チームSから13年にチームEへ移籍した。14年から1年間、乃木坂46と兼任した。選抜総選挙は昨年の5位が最高。162センチ。血液型O。