先月乃木坂46に加入したばかりの新星、林瑠奈(はやし・るな=16)が、初の独占インタビューに応じた。同期の11人から1年3カ月遅れの加入となったが、逆境に強い「負けるな、しょげるな」精神でエンジン全開。これまでの乃木坂46にはない強すぎる個性で、グループに新風を巻き起こす。【横山慧】

初々しい笑顔を見せる乃木坂46の林瑠奈(撮影・横山健太)
初々しい笑顔を見せる乃木坂46の林瑠奈(撮影・横山健太)

オーディションを受けたのは、やや不純? な動機だった。「2次審査まで行けば、かわいい子たちと会えるかと思って…」と照れ笑いする。もともとアイドルが好きだった。

「小学校低学年の時にAKB48の前田敦子さんが好きで、前田さんが髪を切ったら私も髪を切ったりしていました。それからちょっと間が空いてたんですけど、中学入ってからテレビで西野七瀬さんを見たのをきっかけに、乃木坂46にどハマりしましたね」

18年8月、坂道合同オーディションの最終審査に進んだ。他の候補者が特技のダンスやものまねを披露する中で、「白目になって、レッサーパンダの『ヤスシくん』が動物園から脱走したニュースを中継リポート」という、前代未聞の自己アピールをしてみせた。

「受かるとは思っていなかったので、もう2度と会わない人たちの前だから何をしても大丈夫だと思っていました。今思うと、申し訳ないですね(笑い)」

「白目リポート」は審査員の爆笑を誘い、関係者の間でも一躍話題の存在となった。合格者39人のうち、「日刊スポーツ賞」はじめ、最多となる複数の媒体からメディア賞を獲得した。

だが、一筋縄ではいかなかった。18年11月、乃木坂46、欅坂46、けやき坂46(現日向坂46)に合格者たちが振り分けられる中、グループ配属に至らなかったことを伝えられた。

「自分に自信があったわけではないですし、何も考えないまま駅に向かっていたんですけど、ダメだった子たちが何人か駅にいて、みんなの顔を見たら自然と涙が出てきちゃいました。みんなで励まし合ったのを覚えています」

ホワイトボードに数式を書く乃木坂46の林瑠奈(撮影・横山健太)
ホワイトボードに数式を書く乃木坂46の林瑠奈(撮影・横山健太)

坂道研修生として過ごす日々が始まった。先にグループに加入した“同期”のメンバーたちは、さまざまなメディアに出演、活躍していった。「もちろん複雑な思いもありましたけど、客観的にみんなの活躍を見ていたと思います。ただ、中学3年から高校1年になって、『年を取っちゃったな』って思っていました」

途中で辞退するメンバーも出る中、昨年6月から本格的に研修生15人でのレッスンがスタート。坂道グループの楽曲の振り付けをたたき込まれた。10月から開催する研修生ツアーのためだった。「夏休みくらいから、だいぶみんな仲良くなりました。私や増本綺良(現欅坂46)は、落ち込んでいる時も盛り上げるタイプ。それぞれがモチベーションを高め合っていました」と振り返る。

9月には、坂道研修生として初めて顔と名前を公開された。「朝起きて新聞の記事を見て、『いよいよだな』って思いました」。ただ、公式サイトに公開された宣材写真について、「慈愛の目で見ている人、みたいな写真で。『この写真を使ったのか~』って思いました。メンバーからも『NO・1盛れてない』って言われました。でも、ハードルが下がっていたほうがいいかと思って、前向きにとらえました」と笑った。

ツアー中のステージでは、積分記号の∫(インテグラル)を使った解答が「884(はやし)」になる数式を披露し、またもや個性的な自己紹介で沸かせた。

数式を使い独特な自己紹介をする乃木坂46の林瑠奈(撮影・横山健太)
数式を使い独特な自己紹介をする乃木坂46の林瑠奈(撮影・横山健太)

先月、ようやく林ら研修生5人の乃木坂46への加入が決まったが、「研修生の時、みんなからは『瑠奈ちゃんは乃木坂配属はないだろう』って予想されていたんです。だから、乃木坂46に決まったのはうれしかったですけど、正直驚きました」と話す。「乃木坂っぽくないのかもしれませんけど、その分、新しい風を起こせるんじゃないかなと思います」と笑った。

先に加入した4期生11人に合流する形となる。現在は少しずつ距離を縮めている最中で、経験の差は確かにあるが、「長い目で見た時に、私たち5人が入った後、4期生16人で過ごした時間のほうが長くなると思うんです。その時に『この16人で良かった』って言ってもらえるようになりたい」と話す。「同期だけど、先に入っている分いろいろ教えてもらえるから、心強いです」と前向きだ。

乃木坂46としての活動は「命を懸けて頑張ります」と誓う。「体を張ったことも、仕事と割り切ってしまえば何でもできると思います!」と「NGなし」を宣言する。

「ダンスが本当に苦手で、合格直後は見てられないレベルでした。でも、苦手なこととか嫌なこととか、逆境のほうが頑張れるタイプです。1年遅れの加入だけど、だからこそ頑張れるし、自分にエンジンをかけられます。人として好きになってもらえるような、場の空気を明るく変えられる人になりたいです!」

「負けるな、しょげるな、林瑠奈」。国民的アイドルグループの、新しい武器になる。

問)「負けるな、しょげるな、林瑠奈=逆境に強い」。この数式を乃木沢46林瑠奈が証明しました
問)「負けるな、しょげるな、林瑠奈=逆境に強い」。この数式を乃木沢46林瑠奈が証明しました

◆林瑠奈(はやし・るな)2003年(平15)10月2日、兵庫県生まれ。神奈川県出身。普段の会話は関西弁。坂道オーディション最終審査ではミオヤマザキの「芸能界」を歌唱。他にGLAY、神聖かまってちゃんなどのアーティストが好き。キャッチフレーズは「負けるな、しょげるな、林瑠奈。今日も1日頑張るな」。特技は白目と、自転車の押し走り。163センチ。血液型O。