熊本県のご当地キャラ、くまモンがカンヌ映画祭に初登場した。同映画祭内の「ジャパン・パビリオン」で「くまモン・デー」を開催。生みの親の放送作家・小山薫堂氏(50)が監督、脚本を務めた、主演の新作短編映画「ふるさとで、ずっと。」を公開。同県関係者は、くまモンを主演に起用した映画製作を強くアピールした。

 くまモンが11年製作の短編「くまもとで、まってる。」の続編「ふるさとで-」を携え世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭に“主演男優”として乗り込んだ。新作は、前作で紹介した漁師の祖父と孫ら、県民の4年後を描き、祖父を亡くした後、成長した孫の姿などを通し、変わらぬ熊本のすばらしさを描いた。

 新作は1年かけて製作し、今年3月上旬に完成。熊本県が「カンヌに持って行きたい」と自ら動いた。小山氏は日本の文化を世界に発信する新企画「ジャパンデイ プロジェクト」をプロデュースし同映画祭で始動させたが、くまモンのカンヌ行きを聞いたのは2週間前だった。

 くまモンは前日18日夜、世界の映画人1100人を集めたイベント「カンパイ・ナイト」にタキシードを着て“乱入”。一夜明けたこの日も踊りまくったが、「くまモン体操」の後、過労でダウン。「(フランスの炭酸飲料)オランジーナをあげる」と言われ、何とか立ち上がった。イベントを訪れたフランス人の男女は、くまモンの踊りに爆笑し、記念撮影を求めた。

 明日20日にはスペインに旅立ち、存在をアピールするという。同県くまもとブランド推進課の成尾雅貴課長は「主演映画を撮りたいと多くのオファーが来るのを願ってやみません」と期待。小山氏は「全県これくらいポジティブにやればいいと思う」と提言。くまモンには「世界中の幸せを見つける、きっかけになってほしい」と期待した。【村上幸将】

 ◆くまモン 2011年(平23)3月の九州新幹線全線開業を見据え、熊本県のPRキャラクターとして10年3月に誕生。名前は「熊本者(くまもともん)」から。11年ゆるキャラグランプリ優勝。関連商品の売り上げが好調で、14年は過去最高の643億円。現在の肩書は熊本県の「しあわせ部長兼営業部長代理」。