「64-ロクヨン-」で作品賞を受賞した瀬々敬久監督は「大人たちが芝居し合うのが醍醐味の映画。すべてを引っ張ってくれた(主演の)佐藤浩市さんに感謝しています」と喜びを語った。

 横山秀夫のベストセラー小説を前後編2部の大作として映画化した。昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件をテーマに、警察とマスコミの対立など、社会的な問題を深くとらえた。主演級の俳優が大勢主演したが、束ねていく苦労を問われると「そこはもう、無法地帯と化していた」と笑った。前後編4時間を超える作品となったことに「いろいろ批判はありますが、長い原作を成立させるには2時間では納まらない。新しい試みとして作りました」と胸を張った。

 原作とは異なるエンディングについて「原作の横山秀夫さんにえらい怒られましたが、話し合いを重ねて、『映画は映画でお預けします』とおっしゃってくれた」と喜んだ。

 昨年「ソロモンの偽証」で同賞を受賞した成島出監督から表彰盾が贈られたほか、「64-ロクヨン-」の音楽を作曲した村松崇継氏から花束が贈られた。