14日に多臓器不全のため死去した渡瀬恒彦さん(享年72)の葬儀・告別式が17日、都内の寺院で営まれた。兄渡哲也(75)は葬儀に参列し、荼毘(だび)に付された弟を見送った後「無念です」と話した。

 渡は渡瀬さんの復帰への意欲、責任感を関係者や家族から聞いていた。渡瀬さんが亡くなる前日も病室で4月スタートのテレビ朝日系主演ドラマ「警視庁捜査一課9係 season12」のせりふを覚えたり、出演予定場面の心配をするなどしていたことを知ると「そこまで俳優を全うしようとしたが、やり通せなかった」と悔しさを代弁した。

 渡は2年前に急性心筋梗塞で手術を受け、持病の呼吸器疾患を治療中。参列者によると、さすがに気落ちした様子だったが、終始気丈に振る舞い、移動の時も足取りはしっかりしていたという。渡瀬さんと東映時代の先輩後輩の関係で共演経験もある舘ひろし(66)も参列した。

 渡瀬さんのひつぎはこの日午前11時すぎに自宅を出た。喪主で妻い保さん、長男、長女が報道陣に一礼すると車に乗り込んだ。その後、自宅近くの寺院で葬儀が執り行われた。渡瀬さんは派手なことを好まなかったこともあって、参列者は親族のみ十数人で、戒名もなく静かな葬儀だった。遺影は昨年1月、い保さんの誕生日に撮影した写真。優しくほほ笑んでいるものが使われた。

 自宅でも寺院でも、ひつぎの周りは渡瀬さんが好きだった洋ラン、オンシジウムが囲んだ。ひつぎには家族の手紙、家族旅行の写真が納められた。渡瀬さんは好きな花と家族に見守られて静かに旅立った。