「十二人の怒れる“少女”」たちが、闘志を燃やしたパフォーマンスを披露した。

 乃木坂46の選抜外メンバー「アンダーメンバー」による恒例イベント「アンダーライブ」が、4月20日から22日までの3日間、東京体育館で開催された。

 「アンダーメンバー」というと初見ではわかりにくいが、つまりはシングル表題曲の選抜入りから漏れたメンバーたちだ。今回は発売中の新曲「インフルエンサー」の選抜に入れなかった12人によるライブだった。

 12という人数は、14年4月にアンダーライブが初開催して以来、最小だ。さらに、ポジション最前列のフロントを務めた渡辺みり愛(17)山崎怜奈(19)鈴木絢音(18)は、3人とも選抜入り未経験。渡辺が「こんなに大きな会場で、埋まるかどうか不安だった」というのは本音だろう。

 それでも、ふたを開けてみれば、各公演約8000人が入りほぼ満席に。3日間4公演で3万2000人を熱狂させた。乃木坂46全体の層の厚さを見せつけ、アンダーメンバーの人気、「アンダーライブ」のコンテンツ価値も証明した。

 それでもアンダーメンバーは苦しい立ち位置にいる。現在、乃木坂46のメンバー数はちょうど46人。選抜が22人、アンダーが12人、そして3期生が12人だ。選抜メンバーは歌番組の出演や、ドラマ、映画の仕事などがある。昨年9月に入った3期生は、関係者たちから「精鋭」と呼ばれる粒ぞろいで、雑誌などの取材も多数受けており、日本テレビ「NOGIBINGO!」(関東ローカル)にもレギュラー出演中。5月には3期生単独公演も控え、注目度も高い。

 3期生の存在に危機感を持っているアンダーメンバーも多い。くしくも同じ12人。アンダーライブと3期生公演を比べられることもあるだろう。さまざまな思いが交錯する中で、アンダーメンバーは全力を出し切った。その結果が、千秋楽公演での異例のトリプルアンコールにつながったのかもしれない。

 アンダー全体のセンターを務めた渡辺は、涙ながらにスピーチした。

 「乃木坂46のメンバーは今46人です。みんな同じ女の子だし、同じ乃木坂46のメンバーのオーディションを受けてきたのに、どうしてこんなに違うんだろう、どうしてこんなに比べられるんだろうと思って、悔しい思いがありました」

 心情を吐露した上で、言い切った。

 「会場が埋まるか不安だったんですけど、みなさんのおかげでこの場に立つことができました! 私たちをこの場に立たせてくれてありがとうございます。オープニングの映像で言った『全曲全霊』の言葉の通り、全身を使って、全力でやりました。このパフォーマンスは、誰にも負けてないと思います」

 彼女たちの「反撃」は始まったばかりだ。