永瀬正敏(50)が27日、都内で行われた主演映画「光」(5月27日公開)完成披露試写会で、感無量のあまり声を失った。

 永瀬は、83年の映画デビュー作「ションベン・ライダー」(相米慎二監督)で共演し、芸能界で父と慕う藤竜也(75)と「光」で共演を果たしたことに、並々ならぬ思いを抱いていた。その藤から、サプライズで熱いメッセージを送られた。

 藤 永瀬さんは、いい監督に恵まれているよね。相米さんの時は16歳? 学校の夏休みを利用して撮影なさっていた。それから…この永瀬さんですよ。育つもんですよ。すばらしい俳優に、みんな、なりたいなと思っていても…どういうわけだか、何人かしか、なれないんですよね。一生懸命、努力したし、苦労もしたと思います。おめでとう。

 永瀬は、司会から藤のメッセージへの感想を求められたが、唇を震わせ、コメントできなかった。

 「光」は、世界3大映画祭の1つ、第70回カンヌ映画祭(5月17日、フランスで開幕)の、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門にノミネートされた。永瀬は、15年にある視点部門のオープニング作品として上映された河瀬監督の前作「あん」、16年にコンペティション部門に出品された米国のジム・ジャームッシュ監督の「Paterson」に続き、日本人俳優として初めて、出演作が3年連続でカンヌ映画祭で招待を受けた。名実ともに日本を代表する俳優となった永瀬を、藤がたたえた格好だが、そのメッセージが永瀬には何より重く、またうれしいものだった。

 永瀬は舞台あいさつの最後に、冒頭からため息をついていたこと、その理由が藤だったことを吐露した。

 永瀬 ため息をついたのは、34年前に、同じように、藤さんとここ(舞台上)に立たせていただいて、またご一緒できている幸せ…河瀬監督に感謝しています。

 感謝、初心に戻る思い…さまざまな感情が、ひときわ輝く永瀬の瞳からあふれ、こぼれ落ちた。【村上幸将】